ChatGPTがWhatsApp復帰|EU命令から1カ月でMetaが再開放

ChatGPTが2026年7月13日、EEA30カ国のWhatsAppに復帰。EUが6月9日にMetaへ出した暫定措置命令から約1カ月での再開放です。経緯と3つの注目論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

ChatGPTは2026年7月13日、欧州経済領域(EEA)30カ国のWhatsAppで再び利用できるようになりました。

きっかけは、欧州委員会が2026年6月9日にMetaへ出した暫定措置命令です。競合AIアシスタントのWhatsAppアクセスを無償で回復させるようMetaに命じてから約1カ月で、ChatGPTが実際に復帰した形になります。プラットフォーム事業者による「自社AI以外の締め出し」に規制当局が待ったをかけ、それが短期間で実際のサービス復活につながった初の大型事例です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

WhatsApp上で動作するChatGPTのチャット画面

WhatsAppで何が使えるようになったのか

結論から言うと、EEA域内のWhatsAppユーザーは2026年7月13日から、認証済み連絡先「1-800-CHATGPT(+1-800-242-8478)」を通じてアカウント登録なしでChatGPTを利用できます。The Decoderによると、対象はEU加盟27カ国にリヒテンシュタイン、アイスランド、ノルウェーを加えたEEA全域で、テキストでの質問、画像のアップロード、音声メッセージ、画像生成まで多言語で動作します。

使用モデルについては、ボット自身に尋ねると「GPT-5.5で動作している」と回答するとThe Decoderは報告しています。また画像生成の指示追従の精度から、画像リクエストはgpt-image-2に振り分けられているとみられます(この点はThe Decoderの観察に基づく推定で、OpenAIの公式発表はありません)。WhatsAppのアカウントをChatGPTアカウントと連携させれば、OpenAI側の文脈を引き継いだ会話やメッセージ履歴の同期も可能です。一方で、アカウント連携なしの場合にどこまでの利用上限が適用されるかは公表されておらず、要確認です。安価な旧モデルへ内部的に振り分けられている可能性もThe Decoderは指摘しています。

なぜ重要か:EUの暫定措置がMetaの締め出しを覆した

このニュースの本質は、規制当局の介入がプラットフォームのAI囲い込みを実際に巻き戻した点にあります。Metaは2026年1月15日、ビジネス利用規約の変更を理由にWhatsApp上のChatGPTを遮断しました。同時にMicrosoft CopilotやPerplexityも排除され、WhatsApp上で使える汎用AIアシスタントはMeta AIだけという状態が約半年続いていました。

これに対し欧州委員会は2026年6月9日、暫定措置命令を発動しました。プレスリリースでは、競合の汎用AIアシスタントに対するWhatsAppへの無償アクセスを回復し、反トラスト調査が終了するまで維持するようMetaに命じています。成長中のAIアシスタント市場で「深刻かつ回復不能な競争上の損害」を防ぐことが目的と明記されており、調査の最終結論を待たずに先回りで開放を強制した点が異例です。今回のChatGPT復帰は、この命令が絵に描いた餅で終わらず、約1カ月で実効性を持ったことを示しています。

今後の動き:メッセンジャー×AIの主戦場が広がる

OpenAIはWhatsAppにとどまらず、韓国ではKakaoのメッセンジャーへ、その他の市場ではViberへのChatGPT展開を進めているとThe Decoderは伝えています。OpenAIのリリースノートでも各チャネルへの展開が随時更新されており、メッセンジャーアプリがAIアシスタントの配布チャネルとして再び主戦場になりつつあります。

注目すべき論点は3つあります。第一に、Metaへの反トラスト調査の最終結論次第で、開放が恒久化するか再び制限されるかが決まります。第二に、アカウント連携なしの利用上限や使用モデルの透明性が今後問われます。第三に、EUの先例が他地域の規制当局に波及するかどうかです。

日本のEC事業者にとって直接の影響は限定的ですが、示唆はあります。日本のメッセンジャーコマースの主戦場であるLINEでも、AIアシスタントの接客活用が進んでいます。プラットフォーム側の規約変更ひとつで外部AIとの連携が止まりうることは、MetaのWhatsApp Business向けAIエージェントの回でも触れた通りで、特定チャネルに依存しすぎない顧客接点の設計が重要になります。ChatGPT側の商品理解の進化はGPT-5.5 Instantの買い物意図理解で、Metaのアプリ収益化の流れはInstagram・WhatsAppのサブスクリプション展開で解説しています。

まとめ

ChatGPTのWhatsApp復帰は、単なる機能ニュースではなく、EUの暫定措置命令がAIアシスタント市場の競争環境を実際に動かした事例です。1月の締め出しから半年、命令から約1カ月というスピードで開放が実現しました。プラットフォームとAIの力関係は規制で変わりうる、という前提で今後のメッセンジャー×AI動向を見ておく価値があります。

参考文献

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引用元: The Decoder


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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