Google EarthのAI画像生成が1日で撤回|EC商品画像3つの教訓

GoogleがGoogle EarthのAI画像生成機能を公開1日で撤回しました。SynthID透かしでは批判を止められなかった経緯と、日本のEC事業者が商品画像のAI生成で押さえるべき3つの初動を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Googleは2026年7月31日、Google EarthのAI画像生成機能を公開の翌日に撤回しました。

衛星画像アプリのGoogle Earthに追加されたばかりのAI画像生成機能が、公開からわずか1日で取り下げられました。実在する地点の上に、誰でも好きな偽画像を重ねられてしまう点に批判が集まったためです。商品画像を生成AIで作ることが当たり前になりつつある日本のEC事業者にとっても、「AIで作った画像を、どこまで実物として見せてよいのか」を突きつける出来事だと考えています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

AIで生成されたイランのハールク島が炎上する衛星画像

何が起きたか:公開24時間での撤回

結論から言えば、Googleは自社の画像生成AIをGoogle Earthに載せたものの、悪用の指摘を受けて24時間以内に引き下げました。TechCrunchによると、対象となったのは7月30日に公式ブログで発表された「create image」機能です。Google Earthのウェブ版で任意の地点にズームし、ボタンを押してプロンプトを打ち込むと、実際の衛星写真や3Dマップの上に生成画像が重なる仕組みでした。画像生成にはNano Banana 2が使われています。

反発はすぐに起きました。NPRは、イランのハールク島が炎上している画像と、米国議会議事堂周辺が浸水している画像を実際に生成できたと報じています。いずれも起きていない出来事です。オープンソース調査に携わる専門家からは、報道の裏取りに使われてきたツールの内部で偽画像が作れることへの懸念が相次ぎました。Googleは公式Xで「より強力なガードレールの実装に取り組む間、Google Earthのこの機能をロールバックします」と表明しています。

AIで生成された米国議会議事堂周辺の浸水画像

日本のEC事業者にとっての論点:ウォーターマークは免罪符にならない

この一件でEC事業者が押さえるべき論点は、Googleが当初持ち出した反論が通用しなかったという事実です。Googleは、生成画像にはすべてSynthIDという電子透かしが入っており、GeminiやGoogleレンズで真偽を確認できると説明していました。しかし、大半の利用者はわざわざ検証しないという批判に押され、結果として機能そのものを引っ込めています。

これは商品画像のAI生成にそのまま重なります。「AIで作った画像だが、社内では把握している」「透かしが入っているから問題ない」という理屈は、購入者が実物との差に気づいた瞬間に成立しなくなります。日本では景品表示法の優良誤認が直接のリスクで、実際には含まれていない素材や、実物より明らかに良く見える仕上がりを商品画像で表現すると、注記の有無にかかわらず不当表示と判断されうる領域です。とくに美容・健康分野のビフォーアフター表現は指摘事例が多く、生成AIで見栄えを整えるほど危険度が上がります。

プラットフォーム側のルールも見落とせません。楽天市場は商品画像登録ガイドラインを設けており、背景の加工や枠線とみなされる要素には細かい条件があります。生成AIで作った背景が「ベタ塗り」や「枠線」と判定されて弾かれるケースもあるため、RMS上の画像判定を通してから登録するのが安全です(最新の判定基準は楽天の公式ガイドラインで要確認)。楽天の商品画像をAIで作る具体的な手順は、楽天の商品画像をAIで作る完全ガイドでも整理しています。

初動アクション:いますぐ確認したい3点

第一に、第1商品画像だけは実物撮影を原則にすることです。AIは白抜きや不要物の除去といった補正に限定し、形状・色・質感を作り替えないというラインを社内で明文化します。今回のGoogleの撤回が示したのは、後から線引きを直すコストの大きさです。

第二に、AI生成を使ったサブ画像には、イメージである旨をテキストで入れておくことです。日本では2026年時点でAI生成物の表示を一律に義務づける法律は整備されていないと理解していますが(要確認)、ステマ規制以降、開示しておく方が結果的に安全な場面が増えています。EUのAI法のように表示義務を明文化する動きもあり、越境ECを行う店舗はEU AI法のディープフェイク表示義務の整理もあわせて確認しておくとよいでしょう。

第三に、生成に使ったプロンプトと元画像を保管する運用にしておくことです。指摘を受けたときに「どこまでがAI生成で、どこからが実物か」を即答できるかどうかで、対応の重さがまったく変わります。画像1点ごとにファイル名で紐づけておくだけでも十分に機能します。

まとめ

Google Earthの一件は、AI画像そのものが悪いという話ではなく、「本物を確認する場所に偽物を作る機能を置くと信用が壊れる」という話です。商品ページも、購入者にとっては実物を確認する唯一の場所です。生成AIは商品画像制作のコストを大きく下げますが、第1商品画像は実物、加工は補正の範囲、AI生成は開示という三つの線引きを先に決めておくことが、結果として一番速い運用になります。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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