Googleは2026年9月1日、Workspace内蔵のAI画像作成ツール「Google Pics」の提供を開始しました。
テンプレートを選んで組み立てるのではなく、プロンプトを書いて生成し、そこから精密編集する。Google Picsは、CanvaやAdobe Expressが押さえてきた日常のデザイン業務に、生成AIを起点とした別の作法を持ち込みます。EC事業者にとっては、バナーと商品画像という毎月何十枚も作り続けている領域の話です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。
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Google Picsとは何か|Workspaceに内蔵された生成AI画像ツール
Google Picsとは、Google Workspaceに標準搭載されたAI画像生成・編集アプリのことです。TechCrunchによれば、画像生成モデル「Nano Banana」を基盤としており、Googleが創作系ソフト市場に本格参入する動きだと位置づけられています。なお具体的なモデルバージョンについては、Google Workspace公式ブログは「Googleの最良のAI画像編集モデル」とだけ記しており、Nano Banana 2との報道もあるため要確認です。
使い方はシンプルで、ブラウザでpics.newを開き、手元やGoogle Drive、Google フォトから画像を取り込むか、プロンプトを打ち込んで生成します。公式ブログが挙げる編集機能は、画像内の個別オブジェクトを選んで編集すること、テキスト要素の編集・書式変更・翻訳、Web/SNS/印刷/デジタル向けのクロップ、2Kまたは4Kへのアップスケール、複数の編集を一括処理して不要な変更だけ取り消すこと、の5点です。
提供対象は、Business Standard、Business Plus、Enterprise Standard、Enterprise Plusの各Workspaceプランと、Google AI ProおよびUltraの個人プラン、Google AI Pro for Educationです。Google ドキュメントとGoogle スライドへの統合は9月1日から始まり、Google Driveへの展開は数週間以内とされています。
日本のEC事業者にとっての3つの論点
第一に、画像内テキストを個別要素として翻訳できる点が、越境ECの素材制作に直結します。従来は日本語版バナーを作った後、多言語版をゼロから組み直すか、レイヤーの残ったPSDを探すところから始まっていました。テキストだけを差し替えられるなら、Shopifyの多言語ストアや楽天市場の海外向け展開で、同じデザイン資産を横展開する速度が変わります。
第二に、商品を任意の背景や文脈に配置できる機能は、撮影コストの構造を変えます。公式ブログも「商品コンセプトを任意の背景に置いて具体化する」用途を明記しています。ただし規約面の注意が必要です。Amazonのメイン画像は純白背景かつ商品のみという要件があり、楽天市場の商品画像登録ガイドラインでも1枚目に載せられるテキストや帯の面積が制限されています(最新の要件は各プラットフォームの公式ガイドラインで要確認)。AI生成で実物と異なる質感や同梱物を見せてしまえば、景品表示法の優良誤認にあたる可能性もあります。生成AIを使ってよいのは2枚目以降のシーン画像やバナーであり、メイン画像は実写という切り分けが現実的です。
第三に、コスト構造です。すでにWorkspace Business Standard(日本では1ユーザー月額1,600円程度、2026年8月時点の公表価格・要確認)を契約している事業者は、追加課金なしでAI画像制作環境を持つことになります。Canva Proの月払いが月額1,180円程度(同じく要確認)であることを踏まえると、デザイン専用ツールを別契約している中小EC事業者には、契約の棚卸しをする理由が生まれます。
今週やるべき初動アクション
まず、自社のWorkspaceプランが対象に含まれているかを管理コンソールで確認してください。Business Starterは対象外である点に注意が必要です。次に、直近3か月に作ったバナーと商品画像の枚数と外注費を洗い出し、そのうち何割が「テキスト差し替えだけ」「背景差し替えだけ」だったかを分類します。この比率が高いほど、プロンプト起点のワークフローに置き換える効果が大きくなります。
そのうえで、テストは低リスクな面から始めます。メイン商品画像ではなく、メルマガのヘッダー、SNS投稿用の2次画像、セール告知バナーあたりが適切です。加えて、生成画像の社内チェック体制を先に決めておきます。実物と乖離していないか、他社のロゴや意匠が紛れ込んでいないか、生成物の扱いが各プラットフォームの規約に反していないかを、公開前に一度通す流れを作っておくことをおすすめします。
まとめ
Google Picsは、Workspaceを契約している日本のEC事業者にとって、追加コストなしで使えるAI画像制作環境が増える出来事です。テキスト翻訳と背景差し替えは越境ECと撮影コストに直接効きますが、メイン商品画像の規約と景品表示法の線引きだけは先に決めてから運用に入ってください。
参考文献
- Google Workspace Blog|Google Pics brings pro-level AI image creation and editing to Google Workspace
- TechCrunch|Google’s answer to Canva is an AI tool where you prompt instead of design
- Google Workspace|Google Pics 製品ページ
- Google One|Google AI プラン
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。