ChatGPTのChrome拡張が、開いたタブの読み取りと操作に対応しました。
OpenAIは2026年10月16日、ChatGPTのChrome拡張機能をアップデートし、ブラウザで開いている複数のタブを読み取って質問に答える機能と、フォーム入力やメッセージ送信までを代行する「Work」モードを追加したと公式Xアカウントで発表しました。OpenAI自身が使い道の例として「複数タブの商品をサイズ・素材・配送日数・返品条件で比較する」ことを挙げており、消費者の比較行動と、店舗側のバックヤード業務の両方に関わるニュースです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

何が起きたか:ChatGPTのChrome拡張に「Chat」と「Work」の2モード
結論から言うと、今回のアップデートでChatGPTのChrome拡張は「見る」だけでなく「操作する」アシスタントになりました。The Decoderの報道によると、機能は大きく2つに分かれます。
1つ目のChatモードでは、開いているタブの内容をもとに質問へ答えます。チャット中に「@chrome」と書いて特定のタブを指定でき、複数のページから同時に情報を集めて1つの回答にまとめられます。会話の履歴は、閲覧中のページの横に表示されるサイドパネルに残ります。
2つ目のWorkモードでは、Computer Use(画面を見ながらクリックや入力を行うAIの操作機能)を使ってタブを直接操作します。フォームへの入力、メッセージの送信、ファイルのダウンロード、タブのグループ化などが可能です。IBTimes UKによると、ChatGPTは初めてのWebサイトを操作する前に既定で確認を求め、この設定はデスクトップアプリから変更できます。対応ブラウザはChromeのほか、Edge、Brave、Opera、Vivaldiとされています。
提供プランについては、The Decoderは「すべてのChatGPTプランで利用できる」と伝えている一方、Workモードの利用にはPlus以上が必要だとする報道もあり、2026年10月18日時点では要確認です。拡張機能はChrome ウェブストアで配布されています。
背景には、OpenAIが2026年8月にAIブラウザ「Atlas」を終了し、ブラウジング機能をChrome拡張とデスクトップアプリへ移した流れがあります。経緯はChatGPT Atlas終了とEC業務の移行先で解説しています。
日本のEC事業者にとっての3つの論点
日本のEC事業者にとっての本質は、「タブを並べて比べる」という購入前の行動を、AIが数秒で肩代わりする時代に入った点です。
1つ目の論点は、商品ページの「文字で書かれた比較情報」の重要度が上がることです。OpenAIが例に挙げたサイズ・素材・配送日数・返品条件は、楽天市場の商品ページでは画像に文字を焼き込んで見せている店舗が少なくありません。AIがどこまで画像内の文字を読み取って比較に使うかは公表されておらず要確認ですが、テキストで明記されている情報のほうが確実に比較対象になります。主力商品から、仕様と配送・返品条件を本文テキストで書き出しておくべきです。
2つ目は、価格の横並び比較が当たり前になることです。OpenAIは「異なる販売者の価格ページを突き合わせる」使い方も例示しています。同じ型番を楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・自社ECで売っている場合、価格差は一瞬で見抜かれます。価格だけで負けている商品は、送料込みの総額、ポイント、保証、ギフト対応といった価格以外の条件をページ上で明示し、比較されたときに選ばれる理由を言葉で残しておく必要があります。
3つ目は、バックヤード業務の自動化と誤操作リスクです。Workモードはログイン済みのサイトでも動くため、楽天RMSやAmazonセラーセントラルを開いたまま「問い合わせに返信して」「この表の内容を入力して」と頼める可能性があります。便利な反面、価格や在庫の一括変更、顧客への誤送信といった取り返しのつかない操作も起こりえます。モール側の規約が自動操作ツールをどう扱うかも、利用前に確認が必要です(要確認)。AIエージェントの操作精度の考え方はGPT-6 Astraの解説記事も参考になります。
今後の展望と初動アクション
今後の焦点は、Workモードの提供範囲が日本のどのプランまで広がるかと、GoogleのGemini in Chromeとの機能競争です。IBTimes UKは、Gemini側にもタブの比較や、ショッピングカートへの商品投入を代行する機能があると伝えており、ブラウザ上で購買を代行するAIは複数の陣営で同時に進んでいます。
日本のEC事業者が今すぐ取り組めることは4つです。まず、売上上位10商品の商品ページを開き、サイズ・素材・配送日数・返品条件がテキストで書かれているかを点検します。次に、自社商品と競合商品のページをタブで並べ、ChatGPTのChatモードに比較させて、どの点で負けると判断されるかを確かめます。3つ目に、管理画面でWorkモードを使う前に、閲覧と下書き作成までに用途を限定するなどの社内ルールを決めます。最後に、初めてのサイトで確認を求める既定設定は、運用が固まるまで変えないことをおすすめします。
まとめ
ChatGPTのChrome拡張が、タブの読み取りと操作に対応しました。消費者はAIに商品比較を任せやすくなり、店舗側はRMSやセラーセントラルの作業をAIに手伝わせられるようになります。日本のEC事業者は、比較されても選ばれる情報をテキストで整えることと、AIに操作を任せる範囲を先に決めることの2点から始めるのが得策です。
参考文献
- The Decoder: ChatGPT becomes a full Chrome browser assistant that reads and acts on your open tabs
- IBTimes UK: ChatGPT Can Now Work Inside Your Google Chrome Tabs, Click Buttons and Fill Forms
- ChatGPT公式X: Chrome拡張アップデートの発表
- ChatGPT公式X: 活用例の紹介
- Chrome ウェブストア: ChatGPT
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。