LINE公式アカウントとは、企業がLINE上で顧客とつながり、無料で開設できる集客・CRM用のアカウントのことです。
LINE公式アカウントの作り方を、2026年6月時点の最新管理画面に合わせて整理し直しました。開設そのものは10分ほどで完了しますが、EC事業者にとっての本当の価値は、開設後に友だち追加の導線を設計し、セグメント配信やクーポン、ステップ配信で再来店につなげるところにあります。この記事では、初めての方が迷わず開設できる手順に加えて、楽天市場やShopify、自社ECで使うときのCRM活用、料金プランと配信通数の最新の考え方まで通して解説します。
LINE公式アカウントとは何か、なぜEC事業者に効くのか
LINE公式アカウントは、企業や店舗がLINE上に持つビジネス用のアカウントです。友だち追加してくれたユーザーに対して、メッセージ配信、クーポン配布、ステップ配信、チャットでの個別対応、ショップカード(ポイントカード)などを使い、継続的に接点を持てます。月間で多くの人が日常的に開くアプリの中に自社の通知を届けられるため、開封率の高さがメールマガジンとの大きな違いです。
EC事業者にとっての意味は、単なる告知チャネルではなくCRM(顧客関係管理)の基盤になる点にあります。一度購入した顧客を友だちに変え、購入履歴や興味に応じてセグメントを分け、適切なタイミングでクーポンや再入荷の案内を送る。この一連の流れを低コストで回せるのがLINE公式アカウントの強みです。新規獲得の広告費が上がり続けるなかで、既存顧客の再来店率をどう上げるかが利益を左右します。LINEはその「再来店の装置」として機能します。
実店舗とECを併用している事業者であれば、レジ横のQRコードで友だちを集め、オンラインの再購入へ誘導するといった往復導線も組めます。SNS全体での運用設計はSNS運用をAIで自動化する方法でも触れていますが、LINEはその中でも「購入後の関係づくり」に最も近いチャネルだと位置づけられます。
アカウントの種類と、開設前に決めておくこと
LINE公式アカウントには認証状態によって3つの区分があります。1つ目は未認証アカウントで、誰でもすぐ無料で作れますが、LINEアプリ内の検索結果には表示されません。2つ目は認証済みアカウントで、審査(おおむね5〜10営業日、内容により前後するため要確認)を通すと青色の認証バッジが付き、アプリ内検索に表示され、ポスターなどの販促物データも使えるようになります。3つ目はプレミアムアカウントで、付与の基準は非公開です。EC事業者であれば、まず未認証で開設して運用を始め、軌道に乗った段階で認証申請に進むのが現実的な順序です。
開設前に決めておくとよいのは、アカウント名(店舗名と揃えると検索されやすい)、業種、運用担当、そして「友だちをどこで集めるか」の導線です。開設手順そのものよりも、この導線設計のほうが後々の成果を分けます。
アカウント開設の手順(2026年最新版)
ここからは実際の作り方です。管理画面はLINEヤフー社が提供するLINE公式アカウントの管理ツール「LINE Official Account Manager」を使います。画面表記は2026年6月時点のもので、アップデートで名称が変わることがあるため、迷ったら公式のヘルプを参照してください。
第1に、LINEビジネスIDを作成します。普段使っている個人のLINEアカウントでログインするか、メールアドレスで新規にビジネスIDを発行します。複数人で運用する場合や個人LINEと分けたい場合は、メールアドレスでの発行がおすすめです。
第2に、アカウント情報を入力します。アカウント名、メールアドレス、会社・店舗の所在地、業種などを登録します。アカウント名は後から変更に制限がかかる場合があるため、店舗名やブランド名で正式名称を入れておきます。
第3に、入力内容を確認して作成を完了します。ここまでで未認証アカウントが立ち上がり、すぐにメッセージ配信やクーポン作成などの機能が使える状態になります。
第4に、必要に応じて認証済みアカウントを申請します。検索表示や販促データの利用が必要になったタイミングで申請すれば十分です。申請後は審査を待ち、通過すると認証バッジが付きます。
開設後にまず行うべきは、あいさつメッセージ(友だち追加直後に自動送信される文面)の設定と、友だち追加用のQRコード・URLの取得です。このQRコードを商品同梱物、ECサイトのサンクスページ、レシート、SNSプロフィールなどに配置して、友だちを集め始めます。
EC事業者のためのCRM活用:友だち追加導線からステップ配信まで
LINE公式アカウントは作って終わりではなく、ここからが本番です。EC事業者が押さえたいCRM活用を4つの観点で整理します。
1つ目は、友だち追加の導線です。最も効くのは購入後の同梱物とサンクスページです。「友だち追加で次回使えるクーポン」を入口にすると追加率が上がります。商品ページや決済完了画面、配送完了メールにもQRコードを置き、購入した熱量が高いうちに友だちへ変えていきます。
2つ目は、セグメント配信です。LINE公式アカウントでは、友だちの属性(性別・年代・地域など、推定値を含む)や、過去の配信への反応をもとに、配信対象を絞り込めます。全員に同じ内容を送るのではなく、たとえば「過去にセール時に反応した層」だけにセール告知を送れば、ブロック率を抑えながら反応を取れます。配信対象を絞ることは、後述する配信通数の節約にも直結します。
3つ目は、クーポンとショップカードです。クーポンは新規の友だち追加特典、リピート促進、誕生月特典など、目的別に複数を使い分けます。ショップカード機能を使えば、来店や購入ごとにポイントを貯める仕組みをLINE上で完結でき、紙のポイントカードを置き換えられます。
4つ目は、ステップ配信です。友だち追加をきっかけに、あらかじめ用意した複数のメッセージを日数を空けて自動で送る機能です。たとえば追加直後にウェルカムクーポン、3日後にブランドの世界観紹介、7日後に人気商品の案内、というように、購入までの距離を段階的に縮めます。新規友だちへの初動対応を自動化できるため、運用負荷を抑えつつ初回購入率を底上げできます。
これらのCRM施策は、メールマガジンと役割を分けて併用すると効果的です。メルマガ側の設計はネットショップが売れない理由と対策でも触れている再来店設計の考え方と地続きで、LINEは即時性、メールは情報量という形で使い分けるのが定石です。なお、楽天市場の店舗運営者は、楽天のメルマガ(R-Mail)本文から自社LINEなど楽天外への直接リンクを置くことが規約で禁止されている点に注意してください。楽天店舗で集めた顧客をLINEへ誘導したい場合は、商品同梱物など楽天のメッセージ機能の外側で行う必要があります。
LINE公式アカウントの料金プランと配信通数の考え方
料金は「無料で始められて、配信量が増えたら有料プランに上げる」という従量寄りの設計です。2026年6月時点の代表的なプランは、無料で始められるコミュニケーションプラン、月額のライトプラン、月額が上がるスタンダードプランの3段階で、上位プランほど無料分の配信通数が増え、スタンダードでは無料分を超えた分の追加配信も可能になります。具体的な月額と無料通数はLINE側の改定があり得るため、契約前に公式の料金ページで最新の数値を確認してください(金額・通数は要確認)。
ここで重要なのは、課金の単位が「友だち数」ではなく「配信したメッセージ通数」である点です。1通の配信は、配信対象の人数分だけ通数としてカウントされます。つまり、友だちが増えるほど一斉配信1回あたりの消費通数も増えます。だからこそ、全員配信を減らし、セグメント配信で「反応しそうな人だけ」に送る運用が、コスト効率と成果の両面で効いてきます。月の配信回数と1回あたりの対象人数から想定通数を逆算し、プランを選ぶのが失敗しないやり方です。費用全体の目安はLINE公式アカウントの運用費用はいくらかかるかで詳しく整理しています。
AIでLINE配信を効率化する具体手順
LINE配信の文面づくりは、ChatGPTやClaude、Geminiといった生成AIと相性がよい領域です。短文で開封されやすく、かつ売り込みすぎない文面を、複数案まとめて作らせると運用が一気に楽になります。
あなたはEC店舗のLINE公式アカウント運用担当です。
以下の条件でLINE配信メッセージを3案作成してください。
商品: 〔商品名・特徴・価格〕
配信目的: 〔再来店促進/セール告知/新商品案内 など〕
対象セグメント: 〔過去購入者/友だち追加後未購入 など〕
条件:
- 1案あたり全角120文字以内、冒頭30文字で要点が伝わること
- 絵文字は1〜2個まで、煽り表現や誇大表現は使わない
- 末尾にクーポンや商品ページへの一言CTAを入れる
- 3案はそれぞれ訴求軸(価格/限定性/使い方)を変える
このプロンプトのセグメント指定を変えれば、ステップ配信の各ステップ用の文面も同じ要領で量産できます。生成された文面はそのまま使わず、ブランドの言葉づかいに整え、薬機法・景表法に触れる表現がないかを必ず人の目で確認してから配信してください。
よくある質問
LINE公式アカウントは本当に無料で作れますか
はい、開設は無料で、無料プランの範囲内であれば月額もかかりません。費用が発生するのは、無料分の配信通数を超えて配信する場合や、上位プランに切り替える場合です。まず無料で開設し、配信量が増えてから有料プランを検討する流れで問題ありません。
個人のLINEアカウントと友だちや情報が混ざることはありますか
混ざりません。LINE公式アカウントは個人のLINEとは別物として運用され、友だちにあなたの個人アカウントが見えることもありません。個人LINEでログインして作成しても、管理されるのはビジネス用のアカウントです。運用を複数人で行う場合は、メールアドレスでビジネスIDを作る方法が管理しやすいです。
認証済みアカウントにするとどんなメリットがありますか
LINEアプリ内の検索に表示されるようになり、認証バッジで信頼性が伝わります。さらに、ポスターやノベルティなどの販促用データの利用、一部の集客機能の開放といった利点があります。EC中心であっても、ブランド名で検索して友だち追加してもらえる導線が増えるため、運用が軌道に乗ったら申請する価値があります。
友だちを増やすには何から始めるべきですか
購入者への同梱物とECサイトのサンクスページにQRコードを置き、「友だち追加で使えるクーポン」を入口にするのが最短です。すでに買ってくれた顧客は反応率が高く、最初の友だちとして最適です。そのうえでSNSプロフィールや実店舗のレジ横にも導線を広げます。
ブロックされないために気をつけることはありますか
配信頻度を上げすぎないこと、全員に同じ内容を送り続けないことが基本です。セグメント配信で関心の高い人に絞り、クーポンや役立つ情報など「受け取って得をする」内容の比率を高く保つと、ブロック率を抑えられます。
メールマガジンとLINE、どちらを優先すべきですか
両方を役割分担して使うのが理想です。LINEは開封率と即時性に優れ、タイムセールや再入荷など「今すぐ動いてほしい」配信に向きます。メールは情報量を多く載せられるため、特集やストーリー性のある案内に向きます。リソースが限られるなら、まず開封されやすいLINEから着手し、運用に慣れてからメールを足すのが現実的です。
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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なお、LINE公式アカウントの開設後の運用ノウハウはLINE公式アカウントの使い方・運用ポイントで、費用の詳細は前掲の運用費用の記事で補足しています。あわせてご覧ください。

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。