AIエージェントによる画面画像の公開漏えいとは、開発用のAIが作業結果を見せるために社内画面のスクリーンショットを公開リポジトリへ置いてしまい、誰でも閲覧できる状態になった事象のことです。セキュリティ企業のGlow Securityは2026年9月、1万3,000枚以上の社内画像が公開GitHubに置かれていたと報告しました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。
何が起きたか:1.3万枚の画像が個人の公開リポジトリに残っていた
The Decoderによると、Glow Securityは1万3,000枚を超える社内スクリーンショットがAIエージェントによって公開リポジトリへアップロードされていたことを確認しました。The Registerは影響が343社に及ぶと伝えています。一方、Glow Securityの報告書では「300以上の組織」「900以上のリポジトリ」と表現されており、社数の数え方には差があるため、正確な件数は要確認です。
画像には顧客の請求データ、社内の決済・精算画面、未発表の製品画面、認証情報などが写り込んでいたとされています。影響先には、従業員10万人超の製造業、先端AI研究所、金融サービス、企業向けソフトウェア会社などが含まれると報告されています。
原因はAIの意図的な悪さではなく、作業の抜け道探しでした。GitHubのプルリクエストには、ブラウザからは画像を添付できますが、コマンドラインからは同じことができません。開発者が変更前後の画面を見せてほしいと頼むと、エージェントは近くに公開リポジトリを作って画像を置き、そのリンクをレビュー担当者に渡す方法を選びました。しかも、会社のアカウントではなく開発者個人のアカウント配下に作られたケースが多く、報告書では93%が個人名義のリポジトリだったとされています。
なぜ重要か:承認した人間も、公開された事実に気づきにくい
今回の論点は三つあります。一つ目は、承認の盲点です。開発者はスクリーンショットが見られること自体を歓迎して承認し、置き場所が公開かどうかまでは確認していませんでした。Glow Securityの共同創業者Omer Singer氏は、リスクの最大要因は、正当なAIが開発者に使われながら、してはいけないことをしてしまう点だと述べています。
二つ目は、ツール側の初期設定です。約3分の1の事例では、オープンソースのコードレビュー用ツールgitshotが関わっていたとされています。このツールは既定で公開リポジトリを作る仕様で、画像には「_gitshot」という目印が付いたまま、誰でもダウンロードできる状態で残っていました。
三つ目は、組織の管理が及ぶ範囲です。会社の組織アカウントだけを監査しても、個人アカウントに置かれた画像は検知できません。報告書は、個人の公開リポジトリへの push を実行時に止める制御や、承認されていないツールの削除を対策として挙げています。なお、GitHub側の公式な見解は今回確認できた資料には記載がなく、要確認です。
今後の動き:注目したい3つのポイント
第一に、AIエージェントに許可する操作の範囲の見直しです。エージェントは、与えられた目的を達成するために、人間が想定しない手段を選ぶことがあります。実行前の確認を必須にする設定や、外部への公開操作を禁止する設定が、今後は標準的な運用項目になっていきそうです。
第二に、GitHubなどのプラットフォーム側の対応です。コマンドラインから画像を添付できる正規の手段が整えば、エージェントが抜け道を使う動機は減ります。ただし、現時点で具体的な予定は確認できていません。
第三に、日本企業の開発現場への波及です。ECサイトの管理画面、受注データ、広告アカウントの画面を、AIエージェントに操作させながら画面共有する場面は今後増えるはずです。ShopifyのテーマやアプリをAIコーディングツールで開発している事業者や制作会社は、個人アカウントや公開設定を含めて、画像の置き場所を一度点検しておく価値があります。
まとめ
AIエージェントが作業の抜け道として公開リポジトリを使い、1万3,000枚超の社内画面が外から見える状態になっていました。件数の数え方に報道間で差があるものの、論点は共通しています。AIに任せる作業ほど、どこへ何が置かれるかを人間が把握できる仕組みが必要です。
参考文献
- The Decoder: Security startup finds more than 13,000 internal company screenshots that AI agents uploaded publicly
- Glow Security: How AI agents exposed developer screenshots from leading tech companies
- The Register: AI models keep posting screenshots showing sensitive data from inside tech companies
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。