Amazonは2026年10月、データセンター案件で政府機関と結んでいた秘密保持契約(NDA)の利用をやめたと表明しました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。NDAとは、契約の相手方に内容を外へ出さないよう求める秘密保持契約のことです。AWSのCEOであるMatt Garmanが公式ブログで示した方針を、TechCrunchの報道とあわせて整理します。AIの学習と推論を支えるデータセンターへの反発が米国で強まる中で、何が語られ、何が語られていないのかを見ていきます。
何が発表されたのか:NDA廃止と5年で10億ドル超の還元策
TechCrunchによると、Garmanは2026年10月3日付で、Amazonが政府機関との取引でNDAを使うことをやめたと述べました。背景には、データセンターの誘致や建設をめぐって地域住民の反発が広がり、米国で一時停止措置が100件以上検討されているという状況があります。計画が秘密裏に進むことへの不信感が、反発の火種になっていたと読み取れます。
同社が公開したAmazon公式ブログでは、「Built Together」と名付けた地域向けの枠組みが示されています。内容は、5年間で10億ドル超を投じる計画で、コミュニティカレッジの無償化と25か所のモジュール型トレーニングセンター、300校超の学校と3万世帯超を対象にした電力コスト軽減の助成、地域の非営利団体が使途を決められる資金の3本柱です。トレーニングセンターは2028年までに年間10万人の育成を目標にするとされています。数字はいずれも同社の発表であり、達成度の第三者検証は要確認です。
環境負荷への反論:水0.5%、発電機は年約10時間
もう一つの柱は、データセンターへの批判に対する数字での反論です。TechCrunchによると、Garmanはブログで、データセンターの直接の水消費は米国の工業用水使用量全体の約0.5%だと説明しました。Amazon公式ブログでは、同社の平均的な施設の水使用量は1日1万3,000ガロン未満とされ、500万ガロンという巷の数字は実際には約17万ガロンだと主張しています。2025年の世界平均のPUE(電力使用効率。1.0に近いほど効率が高い指標)は1.14で、業界平均の1.25を下回るとしています。
非常用発電機についても、Garmanは次のように述べています。“The truth is data center generators almost never run.”稼働は年に約10時間で、大半は点検のための試験運転だという主張です。一方でTechCrunchは、テキサスにあるAmazonのデータセンターが年間3,300万トンのCO2排出を許可されていることにも触れています。企業の自己申告と許可上限の数字は性格が異なるため、読者は両方を並べて見る必要があります。

なぜ重要か:AIの成長は地域の合意に左右される
この動きが重要なのは、AIの供給能力が計算資源だけでなく、土地、電力、水、そして住民の理解に左右される段階に入ったことを示しているからです。クラウド各社は、巨大な設備投資を進める一方で、誘致先の自治体や住民との関係に気を配らなければ計画そのものが止まりかねません。NDAの廃止は、情報を開示して合意を取りにいく方向への転換と受け取れますが、実際にどこまで開示されるかは今後の運用を見る必要があります。
日本でも他人事ではありません。AWSは2027年までの日本向け投資として2兆2,600億円の計画を公表しており、国内のクラウド基盤は今後も拡張が続く見込みです。電力や水をめぐる地域との関係づくりは、日本でも論点になりえます。ただし、今回のNDA廃止が日本の案件にそのまま適用されるかは、公式な説明が見当たらず要確認です。
今後の動き:注目したい3つのポイント
第一に、NDA廃止が実際の契約や公開情報の増加につながるかどうかです。方針の表明だけでなく、個別案件で情報がどれだけ出てくるかが評価の分かれ目になります。第二に、一時停止措置の検討が100件以上ある中で、各社が同様の開示や還元策を打ち出すかどうかです。第三に、水や発電機に関する自己申告の数字が、第三者の調査や行政の統計と整合するかどうかです。
まとめ
Amazonは、データセンターへの反発を受けてNDAの利用をやめ、5年で10億ドル超の地域向け枠組みと、水・電力・発電機に関する反論を同時に示しました。数字は同社の主張が中心で、検証は今後の課題です。AI時代のインフラは、技術と同じくらい地域との信頼で成り立つという点が、今回の発表から読み取れる核心です。
参考文献
- TechCrunch: Amazon responds to data center backlash, says it no longer uses NDAs
- Amazon公式ブログ: Amazon data centers, built together
- AWS、日本への2兆2,600億円の投資計画を発表(デジタルPR)
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。