ChatGPT Sitesとは、OpenAIが2026年7月9日に公開ベータを開始した対話型サイト制作・公開機能のことです。
「LPを1枚作りたいだけなのに、制作会社の見積もりは20万円、納期は3週間」。この規模感が合わない場面は、EC運営なら年に何度もやってきます。ChatGPT Sitesは、チャットで要望を伝えるだけでWebサイトの生成からホスティング、公開URLの発行までを完結させる機能で、2026年7月9日に公開ベータが始まりました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)の現場知見にもとづき、EC事業者がChatGPT Sitesで作れるもの・作ってはいけないもの・今日から試せるプロンプト5本を整理します。決済機能が禁止されているという最重要の制約も含めて、導入判断に必要な材料を一通り揃えました。
ChatGPT Sitesで何ができて何ができないのか
先に全体像を示します。ChatGPT Sitesは「説明する→ChatGPTが構築する→プレビューを確認する→公開する」の4手順で、コードを一切書かずにWebサイトを持てる機能です。OpenAIの発表と公式リリースノートによると、2026年7月9日のChatGPT Work発表と同じタイミングで公開ベータが始まり、ホスティングもOpenAI側が担います。カスタムドメインの接続や共有URLの発行にも対応し、生成されたサイトはそのまま公開できます。
対応プランには注意が必要です。公開ベータの対象は有料プランで、FreeプランとGoプランでは使えません。先行提供はPro・Pro Lite・Enterprise・Eduで、PlusとBusinessには数日かけて順次展開とアナウンスされています。地域制限もあり、EEA(欧州経済領域)・スイス・英国では公開機能が提供されていません(2026年7月時点)。日本は提供対象に含まれており、この時差は日本のEC事業者にとって先行活用の余地と読めます。
OpenAI自身が挙げる用途は、ダッシュボード、プロジェクトトラッカー、ローンチカレンダー、ポータル、レポートなどです。EC運営に引き付けると、商品紹介ページ、キャンペーンLP、卸先向けの商品カタログページ、社内向けの運営ダッシュボードあたりが現実的な適用範囲になります。
そして最大の制約が決済です。OpenAIの利用規約は、Sitesで金融取引を可能にすること、クレジットカード情報を処理することを禁止しています。つまりChatGPT Sitesでネットショップそのもの(カート・決済・有料予約)は作れません。この線引きを誤解して「無料でECサイトが持てる」と期待すると確実に裏切られます。役割はあくまで「集客・紹介・情報提供の前段ページ」であり、購入ボタンの先は楽天市場の商品ページや自社のShopifyストアへ渡す設計が正解です。
なお、Sitesの技術基盤はコーディングエージェントのCodex系機能から発展したもので、7月9日の発表ではエージェントへの指示からサイト生成までがChatGPT内で一気通貫になりました。エージェント活用の全体像はChatGPT WorkのEC業務自動化ガイドで解説しています。
既存のノーコード制作ツールとの位置関係も整理しておきます。ペライチやSTUDIO、Canvaのサイト機能など、日本のEC事業者が使ってきたノーコードツールとの最大の違いは、制作の入力方式が「テンプレートを選んで編集する」から「会話で要望を伝える」に変わった点です。テンプレート型は初回の学習コストが数時間単位で発生し、更新のたびに編集画面を開く必要がありました。Sitesは普段のChatGPT画面がそのまま制作環境になるため、追加の学習がほぼ発生しません。一方で、テンプレート型が持つ細かなデザイン調整の自由度、フォームや予約などの周辺機能、日本語サポートの手厚さでは既存ツールに分があります。「速度と手軽さのSites、作り込みの専用ツール」という補完関係で捉えるのが現時点の実務的な整理です。
EC事業者の適用シーン:LP・商品紹介・ダッシュボードの3本柱
現場で繰り返し見るのは、LP制作が「外注すると高くて遅い、内製するとスキルがない」の板挟みになっている状態です。ChatGPT Sitesはこの板挟みの解消に最も効きます。
1つ目の柱はキャンペーンLPです。季節催事(お中元、ハロウィン、年末ギフトなど)のたびに1枚もののLPを用意したい店舗は多いものの、従来は制作費と納期がネックでした。Sitesなら商品情報と訴求文を渡して対話で組み立て、その日のうちに公開URLまで到達できます。自社ECサイトやSNSプロフィール、Instagram広告の飛び先として使う運用が素直です。注意点として、楽天市場の店舗が楽天R-Mail(店舗メルマガ)から外部LPへ誘導することは楽天の規約上できません。楽天店舗がSitesを使う場合は、SNS・自社リスト・広告など楽天外の導線に限定してください。
2つ目の柱は商品紹介・ブランド紹介ページです。モールの商品ページには書ききれない開発ストーリーや使い方コンテンツを置き、モールページへ送客する「中間ページ」として機能させます。卸売やBtoB引き合いを受けたいメーカー型の事業者なら、営業資料代わりの商品カタログページを1週間で並べる、といった使い方も可能です。
3つ目の柱は社内ダッシュボードです。OpenAIの想定用途にも入っている領域で、たとえば週次の売上・在庫・レビューの状況をまとめた閲覧用ページを作り、パート従業員やチームに共有する運用が考えられます。スプレッドシートの共有よりも見せたい情報だけを整理して見せられる点が利点です。ただし顧客の個人情報や決済関連データを載せることは規約と安全性の両面から避けるべきで、集計済みの数字に限定する運用が前提になります。
導入コストの面では、既にChatGPT Plus(月20米ドル)以上を契約している店舗なら追加費用ゼロで試せます。LP1枚の外注相場が10万〜30万円、納期2〜4週間であることと比べると、「まず自分で叩き台を公開し、効果が出た企画だけプロに磨いてもらう」という二段構えが取れるようになる意味は大きいと判断します。
実装手順とプロンプト5本:対話だけでLPを公開する
手順はシンプルです。ChatGPTの対話画面からSitesを呼び出し、作りたいページの目的・内容・トーンを伝える。プレビューを確認して修正指示を重ね、仕上がったら公開する。以下のプロンプト5本は、この流れをEC実務に合わせて型にしたものです。GPT-5.6系のChatGPTで動作を想定していますが、要件定義部分(プロンプト1・5)はClaudeやGeminiに貼っても使えます。
1本目は要件定義です。いきなり「LP作って」と投げると平凡な構成になりがちで、先に構成案を固めてから生成させると仕上がりが安定します。
プロンプト1:LP要件定義シートの作成
あなたはECのLP構成に精通したディレクターです。
以下の商品情報をもとに、1枚もののキャンペーンLPの構成案を作ってください。
出力項目:
1. ファーストビューの見出し案3本(それぞれ狙いを1行で)
2. セクション構成(上から順に、各セクションの目的つき)
3. 購入導線の設計(ボタンの文言と遷移先。決済はこのページでは行わない前提)
4. 想定読者が離脱しやすいポイントと対策
商品情報:
- 商品名:{商品名}
- 価格帯:{価格}
- 主要訴求:{素材・産地・実績など}
- 遷移先:{楽天商品ページ/Shopifyストア等のURL}
- キャンペーン期間:{期間}
2本目が生成本体です。プロンプト1の出力を貼り込み、Sitesにページを作らせます。
プロンプト2:ChatGPT SitesでのLP生成指示
以下の構成案の通りに、1ページのキャンペーンLPを作成してください。
デザイン要件:
1. スマートフォン閲覧を最優先(閲覧の7割超がスマホ想定)
2. 配色は{ブランドカラー}を基調に、白背景で可読性重視
3. ファーストビューに{キャンペーン名}と期間を明示
4. 各セクション末尾に「{遷移先URL}へ進む」ボタンを配置
5. 決済・カート機能は実装しない(外部ストアへの送客のみ)
6. 価格表記は税込で統一し、二重価格表示はしない
構成案:{プロンプト1の出力を貼付}
3本目は商品紹介ページ用です。LPと違い、検索やAI検索からの流入も意識した情報設計にします。
プロンプト3:商品ストーリーページの生成指示
{商品名}の紹介ページを作成してください。
構成:
1. 商品の定義を1文で言い切る導入(40字以内)
2. 開発背景・産地・製法のストーリー(3段落)
3. 使い方・活用シーン(写真枠を3か所確保)
4. よくある質問5本(配送・保存方法・ギフト対応など)
5. 販売ページへのリンク({モール名}の商品ページURL)
トーン:{丁寧・親しみやすい等}
禁止事項:効果効能の断定表現、最上級表現(No.1等)、決済機能
4本目は社内ダッシュボードです。数字は貼り付けた集計値だけを使わせ、自動取得を装わせないのが安全な運用です。
プロンプト4:週次運営ダッシュボードの生成指示
社内共有用の週次ダッシュボードページを作成してください。
掲載内容(数値は以下に貼るデータのみ使用し、推定値を作らない):
1. 今週の売上・注文件数・客単価(前週比つき)
2. 在庫アラート(残り{閾値}個以下の商品リスト)
3. 今週のレビュー要約(良い点・改善要望それぞれ2つ)
4. 来週のタスク一覧
アクセス想定:社内メンバーのみ。個人情報・カード情報は掲載しない。
今週のデータ:{集計値を貼付}
5本目は公開前チェックです。表記の法令リスクとリンク切れを、公開ボタンを押す前に洗います。
プロンプト5:公開前の表記・導線チェック
以下はこれから公開するLPの全文です。公開前チェックとして、
1. 景品表示法上リスクのある表現(優良誤認・有利誤認・根拠のない最上級表現)
2. 薬機法上リスクのある表現(効果効能の断定)
3. 特定商取引法の観点で不足している情報(販売者情報への導線など)
4. リンク先URLの記載ミス・重複
を指摘し、修正文案を添えてください。
LP全文:{貼付}
公開後の運用も一言。Sitesで作ったページは修正も対話で完結するため、「木曜に公開、週末の反応を見て月曜に見出しを差し替える」といった高速の改善サイクルが回せます。この改善速度こそ、外注LPとの一番の違いです。
流れを具体的な場面に落とすと、たとえば食品ギフトの店舗が8月末のお月見ギフト企画を立てる場合。月曜にプロンプト1で構成案を固め、火曜にプロンプト2で生成、プレビューを見ながら「ファーストビューの写真枠を大きく」「ボタンの文言を『楽天市場で予約する』に」と対話で直し、プロンプト5の表記チェックを通して水曜に公開。Instagram広告の飛び先に設定し、週末の反応データを見て翌週に見出しを差し替える。ここまでを担当者1人・実働5時間前後で回せる計算です。従来の外注フローで同じことをやると、見積もり・発注・初稿・修正2往復で3週間は見ておく必要がありました。企画から公開までの時間が20分の1になると、「間に合わないから今年は見送る」型の機会損失が構造的に消えます。
失敗例と回避策
直近の支援案件で観測したのは、次の3パターンのつまずきです。
1つ目は「ECサイトそのものを作ろうとする」失敗です。カートや決済を求めてSitesに指示を重ねても、規約上実装できません。時間を溶かした挙げ句にBASEやShopifyへ出戻りするくらいなら、最初から「送客用の前段ページ」と割り切るべきです。販売機能が必要なら、Sitesは紹介ページ、販売は既存ストアという分業が唯一の正解です。
2つ目は「モール規約との衝突」です。前述の通り、楽天R-Mailや楽天店舗ページから外部Sitesページへ誘導する設計は楽天の規約に反します。Amazonでも商品ページやA+コンテンツからの外部誘導は原則できません。Sitesページはあくまで「モールの外側」で使う集客資産であり、モールの内側に持ち込まないこと。この区別を最初に社内共有しておくと事故が防げます。
3つ目は「作りっぱなしの放置」です。対話だけで作れる手軽さの裏返しで、担当者が実験的に量産したページが放置され、古いキャンペーン価格が検索結果に残り続けるケースがありました。公開中ページの一覧と終了日を管理表で持ち、期限切れLPは非公開にする運用ルールをセットで導入してください。
KPI設計と費用・工数目安
費用は、ChatGPT有料プランの範囲内なら追加ゼロです。Plusは月20米ドル、上位のProプランはより高額のため、Sites目的だけならまずPlusで試す判断が妥当です(プラン間の機能差は2026年7月時点の情報を要確認)。工数の目安は、プロンプト1〜2を使った初回LP公開までが2〜3時間、2回目以降は1時間前後に短縮されるのが現場感覚です。外注比較では、制作費10万〜30万円と納期2〜4週間がゼロ円・当日に置き換わる計算になります。
KPIは3つ置きます。第一にLP経由の遷移数(SitesページからモールURLへのクリック)、第二に公開までのリードタイム、第三に改善サイクルの回転数(月あたりの更新回数)です。品質面では、プロンプト5の法令チェックを公開前の必須工程として運用に固定してください。表記トラブルは1件でも起きると回収コストが制作費を軽く超えます。
年間で試算すると、季節催事のLPを年6本外注していた店舗(1本15万円想定で年90万円)が、うち4本をSites内製に切り替えるだけで年60万円の削減になります。浮いた予算を勝ちLPの本格制作や広告費に回せば、同じ予算で打てる施策の数が単純に増える。中小規模の店舗ほど、この「試す回数が増える」効果はCVRの数字以上に効いてきます。ただし内製化した分の担当者工数(1本あたり実働3〜5時間目安)は新たに発生するため、繁忙期は外注併用に戻す柔軟さも残しておくのが現実的です。
今後の展望と独自考察
ChatGPT Sitesの登場で、「Webページを持つコスト」は限りなくゼロに近づきました。ここから起きるのは、ページの量産競争ではなく、送客設計の巧拙による差の拡大だと見ています。誰でもLPを持てる時代には、LPの存在自体に価値はなく、「どの導線に、どの鮮度の情報を、どの頻度で更新して置くか」の運用設計が価値の源泉になります。
AI検索時代の集客資産としての意味も見逃せません。Google AI OverviewやChatGPT検索は、構造の整理された一次情報ページを引用元に選ぶ傾向が強まっています。Sitesで作る商品ストーリーページに「定義の言い切り」「FAQ」「出典つきの数字」を組み込んでおけば、モールの商品ページ単体では取りにくいAI経由の指名検索・比較検索の流入を拾う受け皿になりえます。モール内SEOとAI検索対策を1枚のページで兼ねる設計は、これまで自社サイトを持たなかった店舗にとって新しい選択肢です。
もう1つの注目点は、EEA・英国で公開機能が止まっている事実です。規制環境によってAI機能の提供地域が分かれる状況は今後も続く見込みで、日本で先に使える機能を早期に業務へ組み込むこと自体が、越境競合に対する時間差の優位になります。AIブラウザの再編(ChatGPT Atlasの終了と移行)も含め、OpenAIの機能はChatGPT本体への集約が加速しており、ツールを渡り歩くより「ChatGPT内で完結する業務の割合を増やす」方向に投資するのが2026年後半の合理的な構えだと考えます。
よくある質問
ChatGPT Sitesは無料プランで使えますか
いいえ、公開ベータの対象は有料プランのみで、FreeとGoでは使えません。Pro・Pro Lite・Enterprise・Eduが先行し、PlusとBusinessは順次展開とされています(2026年7月時点)。
ChatGPT SitesでネットショップやECサイトは作れますか
いいえ、OpenAIの規約が金融取引とカード情報の処理を禁止しているため、カート・決済つきのECサイトは作れません。商品紹介やLPを作り、購入は楽天市場やShopifyなど既存の販売ページへ誘導する構成にしてください。
独自ドメインは使えますか
はい、カスタムドメインの接続に対応しています。ブランドの一貫性を重視するなら、キャンペーン用サブドメインを切って運用する形が管理しやすい選択肢です。
楽天市場の店舗ですが、メルマガからSitesのLPに誘導できますか
いいえ、楽天R-Mailから楽天市場外のURLへ誘導することは楽天の規約で認められていません。Sitesで作ったLPは、SNS・自社の顧客リスト・Web広告など楽天外の導線で活用してください。
日本語のページも問題なく作れますか
はい、日本語での指示・日本語ページの生成に対応しています。ただし価格表記や特商法関連の文言は日本の商習慣に合わせた確認が必要なので、公開前にプロンプト5のチェックを通すことを推奨します。
既存のホームページ制作サービスは不要になりますか
いいえ、役割が分かれます。Sitesが向くのは速度優先の1枚ページや社内ツールで、ブランドサイト全体の設計や高度なSEO実装は引き続き専門制作の領域です。叩き台をSitesで検証し、勝ち企画だけ本格制作に回す使い分けが費用対効果の面で合理的です。
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
参考文献
- OpenAI: ChatGPT for your most ambitious work(2026年7月9日発表)
- OpenAI Help Center: ChatGPT Release Notes
- Stacktree: What is ChatGPT Sites? Codex Sites goes GA
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。