音楽配信Deezer、新規曲の50%超がAI生成に|詐欺対策で削除強化

音楽配信Deezerで新規アップロード曲の50%超がAI生成に到達。ピーク時1日9万曲に達し、配信詐欺目的や長期未再生のAI曲は削除へ。AIコンテンツ氾濫とEC事業者が備えるべき真正性対策を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Deezerに新しくアップロードされる楽曲の過半数が、AIによる完全生成になりました。

音楽配信サービスのDeezerは2026年7月、同社に日々アップロードされる新規楽曲のうち、AIが完全に生成した曲が初めて50%を超えたと発表しました。2026年6月のピーク時には、1日あたり約9万曲に達したといいます。生成AIによるコンテンツが、人間の制作物を数の上で上回る象徴的な節目です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援を2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、この出来事の意味とEC事業者への示唆を解説します。

DeezerのAI音楽検出機能を紹介する画像

1日9万曲、Deezerで何が起きたか

Deezerの新規アップロード曲の50%超がAI生成である――これが今回の発表の核心です。TechCrunchによると、完全なAI生成録音が新規アップロードの過半数に達したのは初めてで、2026年6月のピーク時で1日約9万曲に相当します。

この数字は急増を続けてきました。Deezerの公式発表では、2025年1月に1日1万曲だったAI生成曲は、2026年4月には約7万5千曲・全体の約44%まで増えていました。そこからわずか数カ月で50%を突破した計算になります。

一方で、AI生成曲の再生数はまだ全体の1〜3%にとどまります。ただしDeezerは、AI生成曲の再生の最大85%が2025年時点で不正なものだったとし、こうした再生は印税の支払い対象から除外していると説明しています。つまり大量アップロードの主目的は、鑑賞ではなく再生数の水増しによる印税の詐取にあるという見立てです。

今回Deezerは対策をさらに一歩進め、配信詐欺に使われた疑いのあるAI楽曲と、6カ月以上再生されていないAI楽曲を削除する方針を打ち出しました。Deezerは2025年1月にAI音楽検出ツールを導入し、Suno(スーノ)やUdio(ユーディオ)といった主要な生成モデルの曲を特定・タグ付けしてきた、世界で最初の配信プラットフォームです。2025年だけで1,340万曲以上のAI曲を検出・タグ付けしたとしています。

なぜこの節目が重要なのか

重要なのは、これが「AIコンテンツの洪水」に対するプラットフォーム側の対応モデルを示している点です。検出、タグ付け、レコメンドからの除外、収益化の停止、そして今回の削除へと、対応は段階的にエスカレートしています。

背景には、印税プールの希薄化という深刻な問題があります。著作権管理団体の国際組織CISACとPMP Strategyの調査では、生成AIの影響で2028年までに音楽制作者の収益の約25%、金額にして最大40億ユーロが失われる恐れがあると指摘されています。1曲あたりの単価が低い定額配信では、大量のAI曲が再生数を吸い上げるほど、人間のアーティストへの分配が薄まる構造です。

リスナー側の受け止めも見えてきています。Deezerが2025年11月に実施した意識調査(日本を含む8カ国・9,000人)では、97%がブラインドテストでAI曲と人間の曲を聞き分けられず、80%が「完全にAIが生成した楽曲は明確にラベル表示すべきだ」と回答しました。作り手が見分けにくくなるほど、出所の明示と検出技術の重要性が増すことを示しています。DeezerのCEOを務めるアレクシス・ランテルニエは、公式発表で「AI生成音楽はもはや周縁的な現象ではない」と述べ、業界全体での対応を呼びかけています。

同じ「AIによるコンテンツ大量流入」は、ビジネス向けSNSでも起きています。うるチカラでも、LinkedInが長文AIスロップの温床になっているという調査を取り上げました。プラットフォームの種類を問わず、生成AIの低コスト化がコンテンツの「量」を爆発させ、運営側が真正性の担保に追われるという同じ構図が広がっています。

今後の動きとEC事業者への示唆

今後の焦点は、Deezerの削除方針が実際にどこまで機能するか、そしてSpotifyやApple Musicといった大手が同様の開示・対策に踏み切るかです。Deezerは検出技術の外部提供(ライセンス)も始めており、これが業界標準になり得るかが問われます。

この構図は、EC事業者にとっても他人事ではありません。楽天市場やAmazon、Shopifyといったモール・プラットフォームでも、AIが生成した商品画像・説明文・レビューが急増しています。音楽配信で起きた「新規の過半数がAI」という現象は、EC商品ページやレビュー欄でも遠くない将来に起こりうる話です。プラットフォームが検出・ラベル表示・排除へ動けば、AIで量産しただけの出品は淘汰される一方、出所が明確で独自性のあるコンテンツの価値は相対的に高まります。

EC事業者が取るべき初動は、大きく3つに整理できます。第一に、商品画像や説明文でAIを使う場合でも、実写・実測・自社の一次情報を核に据え、量産テンプレートに埋もれない差別化を意識することです。第二に、レビューやUGC(ユーザー生成コンテンツ)の真正性を自社でも点検し、不自然なAI生成レビューに依存しない設計にしておくことです。関連して、AI検出の難しさについてはAI検出ツールの精度に関する解説も参考になります。第三に、各モールが今後打ち出すであろうAIコンテンツの開示・表示ルールを早めに把握し、規約変更に振り回されない運用を準備しておくことです。

まとめ

Deezerの新規アップロード曲の50%超がAI生成に達し、同社は詐欺目的や長期未再生のAI曲を削除する方針を示しました。生成AIによるコンテンツの洪水と、それに対するプラットフォームの検出・排除は、音楽に限らずあらゆるデジタル領域で進む潮流です。量が飽和するほど、真正性と独自性が競争力の源泉になります。

参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/

引用元: TechCrunch


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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