Gemini Robotics ER 2で倉庫のピッキングと検品はどう変わるか|ストリーミング映像理解とEC事業者の3つの論点【2026年版】

Gemini Robotics ER 2が2026年7月に公開。映像から作業進捗を5段階で判定する新機能を整理し、自社倉庫・3PL・モール倉庫の3タイプ別にEC事業者が今できる準備と、工程分解から費用試算までのプロンプト5本を解説します。

投稿日: カテゴリー Gemini

Gemini Robotics ER 2とは、ロボットの頭脳役を担うGoogleの身体性推論AIのことです。

2026年7月30日、Google DeepMindはロボット向けの推論モデル「Gemini Robotics ER 2」を公開しました。前世代のER 1.6から変わった最大の点は、カメラ映像を止めずに流し込みながら「作業がどこまで進んだか」を判定し、失敗したら工程をやり直す判断までできるようになったことです。倉庫のピッキングや出荷前検品は、この「途中経過の判定」がいまだ人手に頼り切っている工程です。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)の現場知見にもとづき、Gemini Robotics ER 2がEC物流のどこを変えうるのか、自社倉庫・3PL委託・モール倉庫利用の3タイプ別に、今から準備できることを整理します。

Gemini Robotics ER 2は何ができるようになったのか

Gemini Robotics ER 2の役割は、ロボットの腕や足を直接動かすことではなく、状況を理解して次の手順を決める「上位の頭脳」です。Googleの発表によれば、ER 2は会話、空間理解、複数手順の計画を受け持ち、実際の動作は別のVLA(視覚と言語の指示を動作に変換するモデル)に任せる二層構造をとります。つまり、倉庫にロボットアームがあっても、そのアームに「次はどの棚の何を取るか」「取り損ねたらどうするか」を指示する層がER 2だと理解すると全体像がつかめます。

新しくなった能力は大きく4つあります。1つ目は連続した映像からの進捗判定です。Googleの評価では、映像の各フレームを0〜20%から80〜100%までの5段階の進捗帯に分類するタスクで正答率57.4%、映像の中から特定の瞬間を見つけるタスクで正答率91.3%、平均のずれ0.96秒という数字が公表されています。2つ目はツールの呼び出しで、VLAモデル、移動用のナビゲーションAPI、Google検索、開発者が定義した任意の関数を、計画の途中で呼び分けます。3つ目はストリーミング入力で、Gemini Live APIの双方向ストリーミングを通じて映像・音声・テキストを受け取り続け、動作の最中に次の手順を考えます。4つ目は複数ロボットの協調で、発表ではApptronikの人型ロボット「Apollo 2」とFranka Roboticsの双腕ロボット「F3 Duo」が作業を受け渡すデモが示されました。

提供形態は、Gemini APIのロボティクス向けドキュメントとGoogle AI Studioからのプレビュー提供で、モデルIDは gemini-robotics-er-2-preview です。低遅延のストリーミング用に別のプレビューエンドポイントも用意されています。企業向けのGemini Enterprise Agent Platformでは非公開プレビューの段階です。料金は通常のGemini APIの課金体系に準じるとする解説がありますが、ロボティクス用途の正式な料金表は執筆時点で要確認です。

日本のEC事業者にとって、このニュースが他人事でない理由は人手の制約にあります。2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられた、いわゆる物流2024年問題以降、出荷締め時間の前倒しや配送日数の延長を迫られた店舗は少なくありません。倉庫内の作業を短くできれば、その分だけ出荷締めを後ろにずらせます。現場で繰り返し見るのは、ピッキングそのものより「取った商品が正しいかを人が目で確かめる時間」と「梱包の途中で手が止まる時間」がボトルネックになっているケースです。ER 2の進捗判定は、ちょうどこの確認作業の自動化に向いた性質を持っています。

既存のGemini Robotics 2の発表をまとめた記事でVLA側の進化を整理しましたが、本記事ではその上位層であるER 2に絞って、EC物流の実務に引き寄せて考えます。

EC物流の3タイプで影響はどう違うか

影響の出方は、倉庫をどう持っているかで大きく変わります。結論として、自社倉庫を持つ店舗は「工程の映像化」から、3PLに委託している店舗は「委託先への質問」から、モール倉庫に預けている店舗は「影響を見守る」ところから始めるのが現実的です。

自社倉庫を持つ店舗は、最も早く恩恵を受けられる立場にあります。ただし、ER 2はロボット本体ではありません。動かすにはアームや搬送ロボットなどの機体、それを制御するVLAやベンダーのソフトウェアが必要で、中小規模の倉庫が明日から導入できるものではありません。それでも、ER 2の本質が「映像を見て作業の進み具合と失敗を判定する」ことにある以上、まず作業の映像を記録し、どの工程で何秒かかり、どこでミスが起きるかを把握しておくことは、将来どのロボットを選ぶにしても無駄になりません。直近の支援案件で観測したのは、出荷1日300件規模の食品ギフト店舗で、誤出荷の大半が「同じ外箱で中身の味違い」という似た商品の取り違えに集中していたことです。こうした取り違えは、映像による進捗・成否判定と相性のよい失敗パターンです。

3PLに出荷を委託している店舗は、自社でロボットを入れる必要はありません。重要なのは、委託先がこうした身体性AIをどの工程にいつ入れるのかを把握し、料金表や誤出荷時の補償条件にどう反映されるのかを確認することです。自動化で作業単価が下がるなら、その恩恵が委託料に反映されるのか、それとも委託先の利益として吸収されるのかで、店舗側の損益は変わります。

楽天スーパーロジスティクスやAmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)のようなモール側の物流サービスに在庫を預けている店舗は、直接の操作対象にはなりません。ただし、モール倉庫の自動化が進めば、入庫時の検品基準や梱包仕様が厳格化される可能性があります。自動化された倉庫は「規格どおりの荷姿」を前提に動くため、外箱サイズやバーコード位置の揃っていない商品は受け入れで差し戻されやすくなる、という方向性は想定しておくべきです。この点は各モールの公式発表を待つ必要があり、現時点では見通しにとどまります。

物流全体をAIに寄せるべきか人手で回すべきかの判断軸は、EC物流をAIで最適化すべきか人手で回すべきかの判断軸6つで詳しく整理しています。ER 2のような上位層のAIは、その判断軸のうち「例外処理の多さ」に直接効いてくる要素です。

倉庫のロボット化に備える5つの手順とプロンプト5本

ER 2を含む身体性AIの導入に備えるには、ロボットを選ぶ前に「自社の工程を言語化し、映像で測れる状態にする」ことが先決です。ここでは、ChatGPT・Claude・Geminiのいずれでも使えるプロンプトを5本、手順順に紹介します。

手順1は工程の分解です。ピッキング、検品、梱包、出荷ラベル貼付といった作業を、人が何を見て何を判断しているかの単位まで分解します。この分解ができていないと、どの工程をロボットとAIに任せられるかを判断できません。

プロンプト1:倉庫作業の工程分解と自動化候補の抽出

あなたはEC物流の業務設計に詳しいコンサルタントです。
以下の倉庫作業の説明をもとに、作業を「人が見て判断している瞬間」の単位まで分解してください。

条件:
1. 各工程について「入力(何を見るか)」「判断(何を決めるか)」「出力(何をするか)」を1行ずつ書く
2. 判断が「形・色・文字の読み取り」で済む工程と、「例外対応・経験」が必要な工程を分けて示す
3. 1日の出荷件数{件数}件を前提に、工程ごとの所要時間の目安を秒単位で推定し、推定であることを明記する
4. 映像カメラで記録すれば判定に使えそうな工程に印を付ける

作業の説明:
- 取扱ジャンル:{ジャンル}
- SKU数:{SKU数}
- 現在の作業手順:{手順の箇条書き}
- 誤出荷が起きやすい場面:{場面}

手順2は検品映像の進捗判定の試行です。Gemini APIのプレビューでER 2を試せる環境がある場合はER 2で、ない場合でも動画を扱えるGeminiのモデルで、検品作業の映像を5段階の進捗に分類させてみます。ER 2の評価と同じ5段階の物差しを使っておくと、将来の比較がしやすくなります。

プロンプト2:検品作業の映像を5段階の進捗に分類する

添付した動画は、EC倉庫での出荷前検品作業を撮影したものです。
作業の流れは「商品をトレーから取り出す→バーコードを読む→外観を確認する→緩衝材で包む→箱に入れる」です。

以下を出力してください。
1. 動画を5秒ごとに区切り、各区間の作業進捗を「0〜20%」「20〜40%」「40〜60%」「60〜80%」「80〜100%」のいずれかに分類
2. 進捗が止まっている区間、または手順が前に戻っている区間があれば、その時刻と考えられる理由
3. 判定に自信がない区間は「判定保留」と書き、理由を添える

注意:人物の顔や個人を特定できる情報には言及しないこと。

手順3は異常の定義です。AIに映像を見せる前に、何を異常とするかを人が決めておかないと、判定結果を評価できません。過去の誤出荷やクレームの記録から、映像で検出すべき異常のリストを作ります。

プロンプト3:誤出荷・梱包ミスの記録から映像で検出すべき異常リストを作る

あなたはEC倉庫の品質管理担当です。
以下は過去{期間}の誤出荷・梱包ミスの記録です。

記録:
{日付、内容、原因、発見経路の一覧}

次の形式で整理してください。
1. 異常の種類(取り違え、数量違い、破損、同梱物漏れ、ラベル違いなど)ごとに件数をまとめる
2. 各異常について「カメラ映像で検出できそうか」「バーコード等の既存手段で防げるか」「人の確認が欠かせないか」を判定する
3. 映像で検出すべき異常の上位5つについて、検出のために映すべき位置(手元、トレー、箱の中など)を提案する

手順4は、ロボットベンダーや3PLへの質問票づくりです。ER 2のような上位層のAIを採用しているのか、どの工程に入れる予定か、誤判定時の責任分担はどうなるのかを、同じ質問で複数社に聞けるようにします。

プロンプト4:ロボットベンダー・3PL向けの情報提供依頼(RFI)質問票

あなたはEC事業者の物流責任者です。
倉庫作業の自動化を検討するにあたり、ロボットベンダーまたは3PL事業者に送る質問票を作成してください。

前提:
- 自社の出荷件数:1日{件数}件、繁忙期は{倍率}倍
- 取扱ジャンル:{ジャンル}
- 自動化したい工程:{工程}

質問票に含める項目:
1. 作業判断に使っているAIモデル(例:Gemini Robotics ER 2などの身体性推論モデル)と、その更新方針
2. 誤ピッキング・誤判定が起きたときの検知方法と、補償・責任分担
3. 映像データの保存期間、利用目的、第三者提供の有無
4. 繁忙期の処理能力と、人手への切り替え手順
5. 導入費用、月額費用、作業単価の変化の見込み

各項目に、回答を比較しやすいよう選択肢または数値で答えてもらう形式を添えてください。

手順5は費用対効果の試算です。導入の判断は最終的に数字で行います。人件費、誤出荷1件あたりの損失、出荷締め時間を延ばせた場合の売上増を並べて、何年で回収できるかを見ます。

プロンプト5:倉庫自動化の費用対効果を試算する

以下の数値をもとに、倉庫作業の一部自動化について、導入しない場合と導入した場合の3年間の損益を比較してください。

数値:
- 対象工程の人員:{人数}人、時給{時給}円、1日{時間}時間
- 誤出荷件数:月{件数}件、1件あたりの損失(再送料・返品処理・クーポン補填):{金額}円
- 自動化の初期費用:{金額}円、月額費用:{金額}円
- 自動化で削減できる作業時間の想定:{割合}%
- 出荷締めを{時間}時間後ろにずらせた場合の追加受注の想定:月{件数}件、平均単価{金額}円

出力:
1. 年ごとの費用と効果、累計の差額
2. 投資回収までの月数
3. 想定値のうち結果を大きく左右する項目と、楽観・悲観の2パターンでの再計算

5本のプロンプトは、手順1から順に使うことで「工程の言語化→映像での計測→異常の定義→外部への質問→投資判断」という流れになります。ER 2を直接使える環境がなくても、手順1・3・4・5は今日から実行できます。

よくある失敗例と回避策

1つ目の失敗は、ロボットの選定から入ってしまうことです。展示会や営業資料でロボットの動画を見て、先に機体を決めてしまうと、自社の工程に合わない仕様を買うことになります。アパレル系の単一店舗で試したケースでは、平置きの多い倉庫に棚前提の搬送ロボットを検討してしまい、レイアウト変更の費用が想定を大きく上回りました。回避策は、プロンプト1で工程を分解し、どの判断を機械に任せたいかを先に決めることです。

2つ目の失敗は、映像の撮り方を決めずにAIへ渡すことです。手元が映っていない、照明が暗い、カメラの角度が毎日違う、といった映像では、どんなモデルでも安定した判定はできません。ER 2の公表値でも、5段階の進捗分類の正答率は57.4%で、人の確認を置き換えられる水準とまでは言えません。回避策は、プロンプト3で検出すべき異常と撮影位置を先に決め、同じ条件で撮った映像だけで評価することです。

3つ目の失敗は、作業者の映像の扱いを後回しにすることです。作業映像には従業員の姿が映ります。撮影の目的、保存期間、閲覧できる人を就業規則や社内規程で定め、従業員に説明しておかないと、労務上のトラブルになりかねません。外部のAPIへ映像を送る場合は、利用規約上のデータの扱いも確認が必要です。

KPI設計と費用・工数の目安

追うべきKPIは、ピッキング1件あたりの所要時間、誤出荷率、出荷締め時刻の3つに絞るのが定石です。現場感覚では、中小規模の自社倉庫で誤出荷率が0.1%前後から0.3%前後の範囲にあることが多く、ここを半分にできるだけでも、再送料と返品処理の負担はかなり軽くなります。これはあくまで現場の観測範囲の目安で、ジャンルやSKU数によって大きく変わります。

費用の面では、手順1〜5の準備段階はほとんどお金がかかりません。ChatGPT Plus、Claude Pro、Google AI Proといった個人向けの有料プランは月額20米ドル前後で、プロンプト1・3・4・5はこの範囲で実行できます。検品映像の試行にGemini APIを使う場合は、動画のトークン量に応じた従量課金になるため、まず10本程度の短い映像で費用を確かめてから本数を増やすのが安全です。ロボット本体を含む本格導入の費用はベンダーごとに大きく異なり、公開された標準価格はないため、プロンプト4の質問票で見積もりを取ることになります。

工数の目安としては、工程分解と映像の記録に2週間、異常リストの作成に1週間、ベンダーへの質問と比較に1か月ほどを見込むと無理がありません。繁忙期の11月から12月にかけては倉庫が最も忙しく、撮影や検証の余裕がなくなるため、準備は年明けの閑散期に回すという判断も十分に合理的です。

KPIの測り方にも一工夫が要ります。誤出荷率は「お客様から連絡があった件数」だけで数えると、気づかれずに終わった取り違えが漏れ、実態より低く出ます。出荷前検品で止めた件数と、出荷後に判明した件数を分けて記録しておくと、映像判定を入れたときに「どちらが減ったのか」を区別できます。ピッキング時間も、1件あたりの平均だけでなく、時間がかかった上位1割の作業を抜き出して見ると、例外処理がどこで発生しているかがわかります。ER 2のような進捗判定は、この例外の発見にこそ価値があるため、平均値だけを追う設計にしないことが肝心です。

今後の展望と独自考察

今後の焦点は、上位層のAIとロボット本体が別々に進化していく構図が、EC物流の調達の仕方を変える点にあります。ER 2が示したのは、同じ頭脳が人型ロボットにも双腕ロボットにも四足歩行ロボットにも指示を出せるという方向性でした。発表ではBoston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」が物を取りに行くデモも示されています。機体を後から入れ替えても判断の層は使い続けられるなら、倉庫の自動化は「一括で数千万円の設備を買う」形から「頭脳はAPIで借り、機体は段階的に足す」形へ移っていく可能性があります。

この流れでは、店舗側が持つべき資産は、ロボットではなく「自社の工程を記述したデータ」と「異常の定義」になります。どの商品が取り違えやすいか、どの梱包でミスが出るか、という知識は、どのロボットを入れても判断の前提として使えます。5,000社支援の中で何度も再現したパターンとして、システムを入れ替えるたびに業務の前提を一から説明し直している企業は、新しい技術の恩恵を受けるのが遅れがちです。今のうちに工程と異常を文書と映像で残しておくことが、将来の導入スピードを決めます。

安全性も無視できません。Googleは、人が近くにいるときに人型ロボットを停止させ、安全を確認してから再開した例を示し、ER 2をこれまでで最も安全なモデルと説明しています。ただし、他のAIロボットの安全評価では、指示次第で危険な動作をしてしまう例も報告されています。人とロボットが同じ通路を使う倉庫では、AIの判断に加えて、物理的な区画分けや非常停止の仕組みを前提に設計する必要があります。物理AIの別の流れとしては、NVIDIAのCosmos 3 Edgeを解説した記事もあわせて読むと、各社の方向性の違いが見えてきます。

最後に、映像理解の精度はまだ発展途上です。5段階の進捗分類で正答率57.4%という数字は、前世代からの改善を示す一方で、検品の最終判断を任せるには早いことも示しています。当面は、AIが「怪しい」と判定したものだけを人が確認する二重チェックの形で使い、人の確認件数をどれだけ減らせるかを測るのが現実的な使い方だと判断します。

よくある質問

Gemini Robotics ER 2とは何ですか?

Gemini Robotics ER 2とは、ロボットが状況を理解し、次の手順を計画するためのGoogle DeepMindの身体性推論モデルのことです。ロボットの動作そのものは別のVLAモデルが担い、ER 2は上位の頭脳として映像の理解、進捗の判定、ツールの呼び出しを受け持ちます。2026年7月30日に公開されました。

中小規模のEC事業者でもすぐに導入できますか?

いいえ、すぐに倉庫で使える段階ではありません。ER 2はプレビュー提供で、実際に作業させるにはロボット本体と制御ソフトウェアが別途必要だからです。ただし、工程の分解や作業映像の記録、異常の定義といった準備は今日から始められます。

楽天スーパーロジスティクスやFBAを使っている場合、何か対応は必要ですか?

現時点で直接の対応は必要ありません。モール側の倉庫を自動化するかどうかは各社の判断で、ER 2の採用も公表されていないからです。将来、自動化が進むと入庫時の荷姿やバーコード位置の基準が厳しくなる可能性があるため、外箱サイズや表示の揃え方は今のうちに見直しておくと安心です。

検品の最終判断をAIに任せてもよいですか?

いいえ、現時点では任せないほうが安全です。Googleが公表した5段階の進捗分類の正答率は57.4%で、人の確認を置き換えられる水準ではないからです。AIが異常と判定したものを人が確認する二重チェックとして使い、人の確認件数をどれだけ減らせるかを測る使い方が現実的です。

料金はどのくらいかかりますか?

Gemini APIでの試行は、入力する映像やテキストの量に応じた従量課金です。ロボティクス用途の正式な料金表は執筆時点で要確認のため、まず短い映像10本程度で実費を確かめてください。ロボット本体を含む本格導入は、ベンダーごとの見積もりになります。

作業者を撮影するときに注意することはありますか?

はい、撮影の目的・保存期間・閲覧者を社内規程で定め、従業員に説明しておく必要があります。作業映像には従業員の姿が映るため、説明なしに撮影や外部送信を始めると労務上のトラブルにつながるからです。外部APIへ送る場合は、提供元の利用規約でデータの扱いも確認してください。

Gemini Robotics 2とGemini Robotics ER 2は何が違いますか?

Gemini Robotics 2は主にロボットの動作を生み出すVLA側の世代名、ER 2はその上で計画と判断を担う推論モデルという違いです(Googleの発表内でも呼び分けに揺れがあるため、詳細は公式ドキュメントで要確認です)。ER 2が「次に何をするか」を決め、VLAが「どう体を動かすか」を実行する分担になっています。倉庫の自動化を考えるときは、両者を組み合わせて使う前提で情報を追うと理解しやすくなります。

まとめ

Gemini Robotics ER 2は、ロボットに「映像を見ながら作業の進み具合と失敗を判断させる」頭脳層のAIで、EC倉庫のピッキングや検品の確認作業を変えていく可能性を持っています。ただし、プレビュー段階で進捗判定の精度も発展途上のため、中小規模の店舗にとっての優先事項は、ロボットを買うことではなく、自社の工程と異常を言語化し、映像で測れる状態にしておくことです。自社倉庫なら工程の映像化、3PL委託なら委託先への質問、モール倉庫利用なら荷姿の見直しから着手し、年明けの閑散期にプロンプト1から5を順に試してみてください。

参考文献


著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)


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【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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