ドイツ当局がAI検索を世界で初めてメディア法の規制対象と判断しました。
ドイツの州メディア当局で構成される認可・監督委員会(ZAK)が2026年7月14日、Googleの検索AI要約「AI Overviews」とAIチャットボットのPerplexityに対し、ドイツのメディア法(州際メディア協定)を適用する初の決定を出しました。AI検索やチャットボットを「コンテンツ提供者」と正式に位置づけた規制判断は世界でも初めてとされ、生成AI検索の引用と表示のルールを大きく変える可能性があります。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援を2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、決定の中身とGEO(生成AI検索最適化)への影響を解説します。
何が起きたか:ZAKがGoogleとPerplexityに初の決定
結論から言うと、ZAKは2026年7月14日、AI OverviewsとPerplexityの2つのAIサービスに対し、州際メディア協定に基づく行政決定を初めて発出しました。手続きはハンブルク・シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州メディア庁(MA HSH)とベルリン・ブランデンブルク州メディア庁(mabb)の2機関が主導し、ドイツのメディア法をAI検索エンジンとチャットボットに適用した初のケースとなります。
ZAK議長のThorsten Schmiegeは「AI検索エンジンとチャットボットはコンテンツ提供者であり、私たちはドイツのメディア法を今後一貫して適用していきます」と述べています。この決定を最初に報じたThe Decoderによると、両社は州際メディア協定109条への違反を正式に認定され、決定は即時執行可能で、不服申立ての期限は1か月とされています。
Googleに対する具体的な指摘は、AI Overviewsが検索結果の最上部という目立つ位置に表示されることで、従来のリンク一覧、とくに報道機関などジャーナリズム系コンテンツへのリンクが見つけにくくなっているという点です。AI回答はGoogle自身のコンテンツであり中立的な検索結果ではないため、この配置は許されない差別的な扱いにあたるとZAKは判断しました。一方Perplexityについては、現時点ではドイツ国内の指定代理人の不在と透明性開示の欠如が指摘されています。

なぜ重要か:AI回答は「事業者自身のコンテンツ」という認定
この決定が重要な理由は、AI回答の法的な位置づけを「第三者コンテンツの配信」から「事業者自身のコンテンツ」へ転換させた点にあります。EUのデジタルサービス法(DSA)には、第三者のコンテンツを配信するプラットフォームを保護する責任免除の仕組みがありますが、ZAKはAI生成の回答は複数のサイトの情報を分析・結合して作られた事業者自身の新しいコンテンツであるため、この免責は適用されないと整理しました。
同様の判断は司法でも出ています。The Decoderによると、ミュンヘンの裁判所は最近、AI生成テキストを「独立した新規の実質的な記述」を含む独自コンテンツと認め、誤った内容についてGoogleの責任を認定しました。Googleは控訴する方針です。行政と司法の両面で「AI回答は生成した事業者自身に責任がある」という枠組みが固まりつつあることになります。
さらにZAKは、チャットボットが回答に引用元やリンク一覧を付ける行為そのものにも踏み込みました。どのリンクを選び、どこに配置するかによって第三者コンテンツが見つかるかどうかが左右されるため、この機能はメディア仲介者の基準を満たし、メディアの多様性を守るための透明性義務の対象になるという理屈です。法学者のJan OsterとChristoph Buschによる法的鑑定書もこの見解を支持し、AI検索エンジンを州メディア法上の独自カテゴリとして新設することを提言しています。
今後の動き:GEOとECの集客はどう変わるか
今後の焦点は、GoogleとPerplexityが1か月以内に不服申立てを行うかどうか、そしてこの規制モデルがドイツ以外へ波及するかどうかの2点です。AI回答を事業者自身のコンテンツとみなす整理はEU全体のDSA解釈にも一石を投じるもので、各国の規制当局や裁判所が同様の判断を採用すれば、AI検索の表示設計や引用の透明性ルールが国際的に見直される展開もあり得ます。
日本のEC事業者にとっても、この動きはGEOの前提条件に関わります。AI回答にどのソースが引用されるかの選定基準が透明化の対象になれば、生成AI検索でうるチカラが検証してきたようなGEOの計測や商品ページのAI検索対策は、いまよりも根拠を持って設計できるようになります。逆に、引用リンクの表示位置が規制で引き上げられても、回答で満足したユーザーはリンクをクリックしないという調査結果があることもThe Decoderは指摘しており、流入の絶対量が回復する保証はありません。自社の商品情報やノウハウが「引用される側の一次情報」になる構造化を進めておくことが、規制の行方に関わらず有効な備えになります。AI Overview対策の基本とあわせて押さえておきたいところです。
まとめ
ドイツのZAKは2026年7月14日、AI OverviewsとPerplexityを世界で初めてメディア法の規制対象と判断し、AI回答を事業者自身のコンテンツと位置づけました。両社の不服申立て期限は1か月で、規制の枠組みが他国へ波及するかが今後の焦点です。生成AI検索の引用ルールが透明化に向かう流れは、GEOに取り組む日本のEC事業者にとって追い風になり得るため、引用されやすい一次情報の整備を先行して進めておきたい局面です。
参考文献
- die medienanstalten・ZAK erlässt erstmalig Bescheide gegen KI-Angebote von Google und Perplexity
- The Decoder・Germany puts Google’s AI Overviews and Perplexity under media law in first-of-its-kind ruling
- die medienanstalten・Rechtsgutachten: Integration von KI-Anwendungen in Suchmaschinen
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。