DeepSeekは、評価額710億ドルでの新規資金調達に向けた協議を開始しました。
中国のAI開発企業DeepSeekが、5月末に約70億ドル(評価額約520億ドル)の初調達を完了してからわずか数週間で、次の資金調達に動き出しました。今回の協議はプレマネー評価額約710億ドルとされ、資金は自社データセンターの建設とAIチップの購入に充てられる計画です。GPT-5.5の11分の1という超低価格戦略を維持するには、それだけの資金が必要だということでもあります。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。
初調達から数週間で再び資金集め|評価額は520億ドルから710億ドルへ
DeepSeekは、初の外部調達を終えた直後に評価額を約4割引き上げた新ラウンドの初期協議に入っています。The Decoderが2026年7月14日に報じたところによると、Financial Timesの取材として、杭州に本社を置くDeepSeekは5月末に約70億ドルの初ラウンドを評価額約520億ドルでクローズし、現在は新規投資家とプレマネー約710億ドルでの追加調達を協議している段階です。
DeepSeekとは、中国・杭州発のAI開発企業で、超低価格のオープンウェイトモデルを提供することで知られています。初回ラウンドの経緯はDeepSeekが初の外部調達を実施した際の記事でも解説しました。今回の資金使途は自社データセンターの建設とAIチップの購入で、並行してNvidiaとHuaweiへの依存を減らすための独自推論チップも開発中と報じられています。出資構成では創業者の梁文鋒が自ら約30億ドルを投じて筆頭出資者となり、CATL、テンセント、JD.com、NetEaseのほか中国の政府系AIファンドが名を連ねています。
11分の1の価格戦略が資金を飲み込む構図
追加調達の直接の理由は、恒久化された超低価格戦略にあります。DeepSeekは最近、最大1.6兆パラメータという大規模なオープンウェイトモデルV4-ProとV4-Flashを公開し、V4-Proの入力価格をGPT-5.5の約11分の1に据え置く値下げを恒久措置にしました。この経緯はDeepSeek V4の値下げ恒久化を扱った記事で詳しく整理しています。価格で顧客を集め続ける限り、推論コストを自社で抱え込むインフラ投資が不可欠になるという構図です。
この戦略は実際に機能しています。5万社超の企業支出データを追跡する米金融サービス企業Rampの集計では、DeepSeekは2026年6月に米国企業で成長が速いソフトウェアベンダーの一つに入りました。ただしRampは、企業データがDeepSeekのプラットフォームに直接送信されるセキュリティ上の懸念も併せて指摘しています。一方で性能面では、OpenAIのGPT-5.6 SolやAnthropicのClaude Mythosが到達した新しい水準にDeepSeekはまだ届いておらず、西側フロンティアモデルとの差はむしろ広がったとされます。それでも「性能の差より価格の差のほうがはるかに大きい」というのが同記事の評価です。
中国勢の追い上げも激化|GLM-5.2、2.7兆パラメータ、300億ドル評価
DeepSeekが資金を積み増すもう一つの背景は、中国国内の競争激化です。Zhipu AIのオープンソースモデルGLM-5.2は、数時間規模のコーディングタスクでAnthropicのOpusシリーズに数ポイント差まで迫り、企業採用が進んでいます。DatabricksがGLM-5.2を標準コーディングエンジンに採用した動きはその象徴です。さらにMiniMaxは2.7兆パラメータ級モデルを早ければ第3四半期にも投入すると報じられ(要確認)、Kimiを展開するMoonshot AIは最大300億ドルの評価額で資金調達を模索しています。
日本のEC事業者にとってこの流れは、AI活用コストの下落圧力が当面続くことを意味します。商品説明文の量産やレビューの一括分析のような大量処理は低価格モデル、判断や顧客対応が絡む業務は上位モデルという使い分けの選択肢が広がる一方、Rampが指摘したとおり、顧客データや売上データを海外プラットフォームへ直接送る運用にはデータ管理上の検討が必要です。安さだけでなく、どのデータをどこに渡すかを含めた選定が問われます。
まとめ
DeepSeekは初調達から数週間で評価額710億ドルの追加調達協議に入りました。11分の1価格を恒久化した以上、データセンターとチップへの投資は避けられず、資金調達は低価格戦略の維持コストそのものです。日本のEC事業者は、価格競争の恩恵を受けつつ、データの扱いを冷静に見極めるスタンスが妥当です。
参考文献
- The Decoder・DeepSeek needs more cash just weeks after closing its first $7 billion round
- The Decoder・DeepSeek makes its 75 percent discount permanent
- The Decoder・DeepSeek topped Ramp’s trending software vendors in June 2026
- The Decoder・Moonshot AI targets a $30 billion valuation
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。