ナイキは2026年10月1日、2027年度第1四半期の売上が前年同期比4%減の112億ドルだったと発表し、自社デジタル売上は13%減、卸売は1%減にとどまりました。
本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。ナイキの決算とは、世界最大級のスポーツブランドが四半期ごとに公表する業績報告のことです。今回はブランド公式サイトとアプリを中心とする自社デジタルの落ち込みと、ランニング領域の二桁成長が同時に示されました。モールと自社ECの両方を運営する日本の店長にとって、チャネル配分を考え直す材料になる内容です。

何が起きたか:売上112億ドル、自社デジタルは13%減
Modern Retailによると、ナイキの会計年度第1四半期の売上は112億ドルで前年同期比4%減、純利益は7億ドルで2%減でした。通年の売上見通しは、前年比でひと桁台後半の減少とされています。
ナイキの公式発表では、チャネル別の内訳も確認できます。ナイキブランドの卸売は68億ドルで1%減、ナイキ直営は41億ドルで8%減、そのうち自社デジタルは13%減、直営店舗は5%減でした。粗利益率は42.8%で、前年から0.6ポイント改善しています。在庫は78億ドルで3%減と、在庫の重さは和らぎました。
地域別では、大中華圏の落ち込みが最も大きいと報じられています。Modern Retailは26%減と伝えていますが、他の報道では減少率の数字が異なるため、正確な値は要確認です。一方で、ランニング部門は二桁成長を続け、クッション性能を軸にした領域では過去1年でシェアをほぼ3倍に伸ばしたと、エリオット・ヒルCEOの説明として伝えられています。
なぜ重要か:自社ECより卸売が強い、という逆転が見えた
今回の数字で目を引くのは、自社デジタルが13%減る一方で、卸売は1%減にとどまった点です。ナイキは近年、卸売を絞って自社直販を伸ばす方針を取ってきました。その軸足を、卸売パートナーとの関係再構築へ戻しつつある局面だと読み取れます。ただし、これは決算数字から見た筆者の考察であり、同社が方針転換と明言したわけではありません。
日本の店長に引き寄せて考えると、示唆は二つあります。一つ目は、自社ECの売上は広告費と値引きに強く依存し、需要が冷えると真っ先に減るという点です。楽天市場やAmazonなどのモールは集客力が高く、需要が弱い時期でも一定の流入が見込めます。二つ目は、成長している領域には商品の中身に具体的な物語がある点です。ナイキはランニングで、走る人の距離や目的ごとに4つの新作を2か月で投入し、上海では夜間ランニングイベントに約4,000人を集めたと伝えられています。商品とイベントを組み合わせた体験が、需要の回復につながったという構図です。
なお、ナイキが売り場の分け方を、従来の男性向け・女性向け・子ども向けから、競技やスポーツ別へ切り替えていると報じられています。商品カテゴリの見せ方を、ユーザーの目的別に組み替える動きは、モールの店舗設計にも応用できます。たとえば楽天市場の店舗トップで、性別ではなく用途で入口を作る方法です。
今後の動き:ナイキが示した次の一手と、店長の初動
ナイキは通年で売上の減少を見込み、調整後の1株利益を1.15〜1.35ドルとする見通しを示しました。構造改革の費用として約0.15ドル分を織り込んでいます。ヒルCEOは、競技起点の戦略を意味する「Sport Offense」を成長の軸に据え、コスト削減計画「Pace」で加速すると説明しています。
日本の店長が今週できる初動を、考察として三つ挙げます。まず、自社ECとモールの売上比率と、広告費を除いた利益率を直近6か月で並べて確認してください。次に、売れ筋カテゴリを性別や価格ではなく、用途や目的で再整理し、商品ページの導線を見直してください。最後に、季節イベントや体験施策を商品と結び付け、自社ECの顧客だけに閉じない企画を試してください。日本国内でのナイキ各チャネルの動向については、公式の発表を待つ必要があり、現時点では要確認です。
まとめ
ナイキの2027年度第1四半期は、売上112億ドル、自社デジタル13%減、卸売1%減でした。ランニングの二桁成長が示すのは、需要の鍵が商品の中身と体験にあるという点です。日本のEC事業者は、自社ECとモールの比率を数字で点検し、用途別の見せ方へ組み替えることから始めるのが現実的です。
参考文献
- Modern Retail:Running was a bright spot for Nike in an otherwise gloomy quarter
- NIKE, Inc. 公式発表:Reports Fiscal 2027 First Quarter Results
- Business Wire:NIKE, Inc. Reports Fiscal 2027 First Quarter Results
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引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。