Opus 5が指示1つで、遊べる3Dゲームを丸ごと生成できるようになりました。
The Decoderが2026年8月2日に伝えたところによると、AnthropicのClaude Opus 5が、テキストの指示1つから一人称シューティングやカートレース、Minecraftの再現までを生成する事例が相次いでいます。素材ファイルは一切使わず、形も質感も物理も、場合によっては音楽までコードとして書き出され、ブラウザでそのまま動きます。EC事業者にとっての意味は「ゲームが作れる」ことではなく、ブラウザで動く3D体験を外注せずに試せる可能性が出てきたことです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Opus 5の3D生成で何が起きたか、6つのデモが示したこと
結論から言うと、Opus 5は外部素材ゼロで動く3D空間をコードとして書き切れる水準に達しました。ここ数日で公開されたデモは6件以上あります。
Matt Shumerは、街並みも銃も敵の挙動も画面上のすべてが生成コードという一人称シューティングを公開し、「外部アセットは一切使っていません」とXに書いています。プロンプトとソースはClaude-of-DutyとしてGitHubに置かれています。Alex Ermolovのスノーボードデモは初回実行で視覚的な破綻がなく、滑走の物理が正しく感じられたといいます。Chetasluaが作ったローマの攻城兵器バリスタは操作パネルまで備わっており、同じ指示をGPT-5.6 SolとKimi K3に投げた場合は形こそ認識できるものの、可動部が少なく周囲の作り込みも及ばなかったと報告されています。
進歩の幅がわかりやすいのはChrisの比較です。1年前のClaude 4 Opusに「テクスチャなしで未舗装路の車を」と頼むと平坦な色の塊が返ってきたのに対し、Opus 5は泥の轍と植生、層になった光を返しました。

ほかにも、HTMLファイル1つに数百万本の草を詰め込み風でなびかせた風景、3Dオブジェクトもテクスチャも音楽もモデルが作った潜水艦ゲーム、実際に遊べるWebサイトとして公開されたカートレースがあります。コミュニティでは「1つの指示でMinecraftを作り直す」ことが非公式のストレステストとして定着しつつあり、Pankaj Kumarの版は無限に生成される世界と15のバイオーム、サバイバルとクリエイティブの両モードを備えています。ただしこの制作にはトークンを2,500万も使ったと本人が明かしています。
技術的な中身は、従来の3D開発とかなり違います。素材ライブラリから部品を集めて画像ファイルのテクスチャを読み込み、物理はエンジンに任せる、という手順を踏みません。形は実行時に点と面を計算するプロシージャル生成で、質感はシェーダーというコード、物理も操作もモデルが一緒に書きます。すべてがThree.jsでブラウザ上を動くため、HTML1ファイルで完結します。AnthropicはOpus 5の発表で従来よりはるかに強い視覚的出力が得られると説明しており、テスト協力者の1人は歴代Opusで最良のアニメーション・ゲーム・3Dだと評しています。
見落としてはいけないのは、動画生成モデルとの差です。フレームを計算して映像を返すタイプの仕組みは、出力が映像として存在するだけなので後から直せません。Opus 5が返すのは開いて書き換えられるコードです。この違いが、EC事業者にとっては決定的に効いてきます。
EC体験ページを内製する前に押さえたい3つの現実
日本のEC事業者がこのニュースを「体験ページを内製できる」と受け取る前に、確認しておくべき現実が3つあります。
1つ目は、作れるのが実物の3Dモデルではないということです。Opus 5が書くのは「コードで表現した形」であって、自社の商品を寸分たがわず再現したデータではありません。商品そのものを回して見せたいなら、Shopify公式ブログが解説するとおり、複数角度から撮影してフォトグラメトリで3D化する工程が依然として必要です。逆に言えば、実物再現でなくてよい領域、たとえば仕組みの解説図、サイズ感を体感させるシミュレータ、使い方の手順を動かして見せるページであれば、コード生成が刺さります。
2つ目は、作れても置ける場所が限られることです。自社ECなら制約は小さく、Shopifyは3DモデルをUSDZやGLB形式で商品に登録するだけで商品ページにAR表示が反映されるShopify ARを用意しています。国内でもトンボ鉛筆が「ABTデュアルブラッシュペン」の色相・明度・彩度を3Dのカラーチャートで見せる例があり、静止画では俯瞰しきれない情報を立体で伝えています。一方、楽天市場のRMS商品ページはscriptタグや外部ファイルの読み込みが使えないとされており、ブラウザで動くHTMLをそのまま置くことはできません(最新の仕様はRMSの利用ガイドで要確認。回避を狙った記述は仕様変更で無効化されるうえ規約上の問題もあるため推奨しません)。モールでは動画や連番画像に落とし込む前提で設計してください。
3つ目は、コストと品質が現実的な壁として残ることです。Minecraftクローンで2,500万トークンという数字は、遊びで回せる規模を超えています。動作は重く最適化も十分ではなく、公開されているものはあくまでプロトタイプです。The Decoderも、標準化された課題も評価尺度も試行回数の管理もないため方法論としてのベンチマークではないと釘を刺しています。日本語環境や日本のEC実務で同等の結果が出るかは公開情報から確認できないため、この点は要確認です。
明日から動かすなら、この3ステップ
まず、静止画で説明しきれずに問い合わせが来ている商品を1つ選んでください。サイズ感、組み立て手順、可動部の動き、使用シーンのいずれかで質問が集中している商品が候補です。ここが投資対効果の出やすい入口になります。
次に、HTML1ファイルで作って社内で回すところから始めます。いきなり公開せず、返品理由や問い合わせ内容と照らし合わせて、その体験が本当に疑問を解消するかを確かめます。公開は自社ECからで、モール側は静止画や動画に変換して展開する二段構えが現実的です。
最後に、費用の物差しを作ります。Shopify公式ブログによれば3Dモデル制作を外注した場合の相場は人型で5万〜100万円、人型以外で1万〜50万円です。この金額とトークン消費を並べ、案件ごとにどちらが安いかを判定できるようにしておくと、社内の意思決定が速くなります。なお生成AIのモデル選定とコスト管理はClaude Opus 5が半額でFable 5級|EC運用コスト3つの論点で、ページそのものをAIに作らせる話はPerplexityのWebサイト生成機能とEC向けLP内製で整理しています。体験型の売り場づくりについてはベストバイとMetaの体験ラボ、3D空間そのものをAIが生成する流れはAmazonの3Dワールドモデルも参考になります。
まとめ
Opus 5の3D生成が示したのは、ブラウザで動く体験を編集可能なコードとして手元に持てる時代が来た、ということです。ただし実物の再現には従来どおり撮影と3D化が必要で、モールでは置き場所の制約もあります。まずは問い合わせの多い商品を1つ選び、社内検証用のHTMLを1本作るところから始めるのが、最も損の少ない入り方だと考えます。
参考文献
- The Decoder: Claude Opus 5 pushes prompt-to-game AI from rough color blocks to full 3D prototypes with physics and music
- Anthropic: Claude Opus 5
- Shopify 日本: ECストアに3Dモデルを導入するメリットとやり方
- Shopify 日本: Shopify AR
- GitHub: mshumer/Claude-of-Duty
- Three.js 公式サイト
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: The Decoder
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。