ChatGPT公開後に作られたWebページの35%に、AI執筆の兆候が見つかりました。
米国の調査機関ピュー・リサーチ・センターが2026年8月20日に公開した分析で、この数字が明らかになりました。全期間のページを含めた2026年7月時点のサンプルでは10%ですが、2022年11月のChatGPT公開より後に公開されたページに絞ると3分の1を超えます。商品説明文もブログもAIで書くのが当たり前になった今、EC事業者は「AIで書いたかどうか」ではなく「AIで書いても勝てる要素があるか」を問われる段階に入りました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

調査の中身は約49万ページ、comドメインが突出
結論から言うと、AI執筆の兆候は商用ドメインに集中しています。ピュー・リサーチ・センターは、WebアーカイブのCommon Crawlから2021年1月〜2026年7月の英語ページ約49万件を集め、AI検出モデルOpen Pangramで判定しました。2026年1月時点の集計では、.comドメインの9.35%にAI執筆の兆候があり、.orgの4.59%の約2倍、.eduや.govの約1%と比べると約10倍です。
言葉づかいの変化も数値で出ています。2023年前半と2026年1月を比べると、1万語あたりのエムダッシュ使用は5.79回から11.19回へ約2倍、オックスフォードコンマは34.04回から55.51回へ63%増、「delve」「interplay」「testament」といったAIが好む語彙は11.94回から26.02回へ倍増しました。「単なるXではなく、Yである」という否定並列の構文もほぼ3倍です。
注意点として、この35%という数字は「全文をAIが書いた」ページだけを指すわけではありません。人間が書いた原稿をAIが大幅に加筆・推敲したケースも含まれます。検出モデル自体も個別の文書では誤判定が起こり得ると、調査チーム自身が明記しています。
日本のEC事業者にとっての3つの論点
第一に、商品ページの文章が「他店と区別できない」リスクが上がっています。楽天市場やYahoo!ショッピングでは同一メーカー品を複数店舗が扱う構造が一般的で、メーカー提供の資料を各店がそれぞれ生成AIに投げれば、出てくる説明文は驚くほど似通います。.comドメインで約1割という数字は、まさに商用サイトが震源地であることを示しています。
第二に、AI検索での引用のされ方が変わります。ChatGPTやGoogleのAI Overviewは、Web上の記述を要約して回答を組み立てます。似た表現のページが増えれば増えるほど、引用元として選ばれるのは「そこにしかない情報」を持つページになります。実測サイズ、自社での使用感、同梱物の写真、リピーターのレビュー傾向といった一次情報は、生成AIには作れません。
第三に、社内のレビュー体制が問われます。AIが書いた文章をそのまま公開すると、薬機法や景品表示法に触れる表現が紛れ込むことがあります。「効く」「改善する」「業界No.1」といった語は、生成AIが自然な流れで出してしまいがちです。公開前に人がチェックする工程を省くほど、リスクは静かに積み上がります。
明日からの初動アクションは3つ
まず、売上上位20商品の商品説明文を読み直し、その店でしか書けない情報が1行でも入っているかを確認してください。入っていなければ、実測値・使用シーン・同梱物・返品理由の傾向のいずれかを1つ足すだけで、他店との差が出ます。
次に、生成AIに渡すプロンプトへ「エムダッシュを使わない」「delveのような大げさな語を使わない」といった制約を最初から書き込みます。文体の癖はプロンプト側で潰すのが早く、公開後に直すより工数がかかりません。
最後に、薬機法・景表法のNGワードリストを用意し、公開前に必ず機械的に検索する運用を作ります。うるチカラの現場支援でも、この一手間があるかないかで差し戻しの件数が大きく変わります。
まとめ
AIで書くこと自体は、もはや差別化になりません。ChatGPT公開後のWebページの35%にAI執筆の兆候があるという事実は、裏を返せば「一次情報を持つ店が相対的に浮き上がる」という意味でもあります。生成AIは下書きの速度を上げる道具として使い、最後の一行に自社にしかない事実を置く。この順番を守ることが、EC商品ページの生存戦略になります。
参考文献
- Pew Research Center|How Much of the Internet Is Written With AI?
- Pew Research Center|Methodology: AI content analysis
- Common Crawl
- Pangram|Introducing Open Pangram
- Decrypt|A Third of the Post-ChatGPT Web Is AI-Written, Pew Finds
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
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引用元: Pew Research Center
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。