TikTok Shopディスカバリーコマースの実像|medicube219%成長に学ぶ3つの型

TikTok Shopのディスカバリーコマース最新データを解説。medicube219%成長・Crocsライブ150万ドルの事例から、日本のEC事業者が取るべき動画量産とライブ常設化の初動を具体的に紹介します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

TikTok Shopが「ディスカバリーコマース(発見型購買)」の実績データを公開しました。韓国コスメのmedicubeは2年間で動画投稿86万4千件・累計130億回再生を生み出し、流通総額(GMV)を前年比219%伸ばしたといいます。検索して買う従来のECとは異なり、動画やライブ配信で「偶然出会って買う」体験をどう設計するかが論点です。日本のEC事業者がTikTok Shopディスカバリーコマースをどう捉えるべきか、事例から具体的に解説します。

TikTok Shopが示したディスカバリーコマースの数字

Modern RetailがTikTok Shop提供データとして伝えたところによると、プラットフォーム全体の取引量は2025年に約80%増加し、その伸びを牽引したのが短尺動画とライブ配信でした。検索窓に商品名を打ち込む前に、フィードを眺めているうちに欲しいものに出会う。この「発見」を起点にした購買が、ディスカバリーコマースと呼ばれる流れです。

象徴的なのが韓国発のスキンケアブランドmedicubeです。2年間でクリエイターと自社あわせて86万4千件の動画が投稿され、累計130億回再生に達し、GMVは前年比219%成長したとされています。同ブランドはACE(Assortment=品揃え、Content=コンテンツ、Empowerment=販売者支援)という枠組みで、クリエイター投稿・自社投稿・ショップ機能を横断的に整えたといいます。

フットウェアのCrocsは2025年10月の「Croctober」キャンペーンで、ひと月のあいだ24時間体制のライブ配信を実施しました。配信時間は合計744時間に及び、1100万回超の視聴と150万ドルのライブ売上を記録したと報じられています。TikTok Shopで戦略を統括するPatrick Nommensenは「発見、検索、購買が一体に織り込まれている」と述べています。なお、これらの数値はTikTok Shop側が公表したものである点は前提として押さえておく必要があります。

日本のEC事業者にとっての論点

日本でもTikTok Shopは本格展開が進みつつあり、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングといった検索主導のモールとは購買導線がまったく異なります。検索型モールでは「指名買い」や「比較検討」に最適化した商品名・キーワード設計が効きますが、ディスカバリーコマースで効くのは、最初の数秒で手を止めさせる動画の企画力です。

medicubeの事例で重要なのは、自社投稿だけでなくクリエイター投稿を大量に積み上げた点です。日本の店舗運営に置き換えると、社内で制作する公式動画と、UGC(ユーザー生成コンテンツ)やインフルエンサー投稿を分けて考え、両方を増やす仕組みが必要になります。一本の完璧な動画より、数を投下して当たりを見つける運用に近い発想です。

Crocsの長時間ライブも、日本の事業者がそのまま744時間配信を真似する必要はありません。学ぶべきは、ライブを単発イベントではなく一定期間の「常設チャネル」として設計した点です。楽天スーパーSALEやお買い物マラソンのような会期に合わせ、ライブ配信を集中投下する設計なら、既存のモール運営とも両立しやすいといえます。

初動アクション

まず取り組むべきは、自社商品が「発見」に向くかの棚卸しです。ビフォーアフターが見せやすい、使用シーンが動画映えする、価格が衝動購入の範囲にある商品から優先的に動画化すると、ディスカバリーコマースの相性を見極めやすくなります。

次に、コンテンツの量産体制です。生成AIを使えば、動画の構成案・フック(冒頭の一言)・テロップ案を短時間で大量に作れます。ChatGPTやClaude、Geminiに商品情報を渡し、ターゲット別の切り口を10本単位で出させてから撮影に回せば、企画の手詰まりを避けられます。

そして効果測定です。検索型ECのCVRやROASだけでなく、視聴維持率や保存数、コメントからの導線といった発見型ならではの指標を見る必要があります。既存のモール運営の数字とは別管理にして、動画ごとの当たり外れを蓄積していく姿勢が欠かせません。

まとめ

TikTok Shopが示したのは、動画とライブによる「発見」を起点にした購買が確かに数字を生んでいるという事実です。日本のEC事業者にとっては、検索型モールの運営と切り分けつつ、コンテンツの量産とライブの常設化に踏み出せるかが分かれ目になります。まずは発見に向く商品の選定と、生成AIを使った企画量産から着手するのが現実的です。

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引用元: Modern Retail


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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