AI要約とは、検索結果の上部に生成AIが答えをまとめて表示する枠のことです。
TechCrunchが2026年7月27日に報じたところによると、GoogleのAI Overviewsが米国の検索の43%に表示されるまで広がりました。1年前の15%からおよそ3倍です。検索結果が「青いリンクの一覧」から「答えそのもの」へ変わりつつあるという話で、商品ページへの流入を売上に変えてきたEC事業者にとっては、アクセス解析の読み方そのものを見直す材料になります。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

43%という数字の中身と、慎重に見るべき点
今回の数字の出どころは、市場調査会社Similarwebの「The 2026 Generative AI Landscape Report」です。米国の検索でAI Overviewsが表示された割合が2025年1月のおよそ15%から2026年5月に43%へ伸びた、というのが中心的な発見になります。
あわせて公開された数字も、流入を扱う立場からは見逃せません。会話型の検索画面であるAI Modeへの訪問は、2025年6月の1億2,600万件から2026年5月には2億7,900万件へ増えました。検索クエリの平均の長さも伸びており、短いキーワードの寄せ集めから、AIに話しかけるような長い文へ移りつつあることを示しています。引用リンクを含むAIの回答は1年で5倍以上に増えた一方、2026年5月時点で米国のChatGPTデスクトップ検索のうち引用を含んだのは6.8%にとどまります。ただし旅行・小売・スポーツの分野は引用が付きやすいとされており、小売が相対的に有利な側にいる点は覚えておく価値があります。
一方で、この43%をそのまま「検索の半分がAI要約に置き換わった」と受け取るのは早計です。MLQ.aiは、公開資料に調査対象クエリの件数や選び方、デバイスの内訳、業種の重み付け、そもそも何をもってAI Overviews表示と判定したかが示されていないと指摘しています。実際、別の計測では数字が大きく変わります。Adthenaは2026年6月の米国検索で18%、55,393件のトレンドクエリを19カテゴリにわたって投じた学術研究では13.7%でした。同じ研究でも疑問形の検索に絞ると64.7%まで跳ね上がり、どんなクエリを選ぶかで見出しの数字が動くことがわかります。
Google側の立場も併記しておきます。Alphabetの2026年第2四半期では検索その他の売上が前年同期比17%増で、AI検索機能は検索総量を増やし毎週数十億回のクリックをサイトへ送っていると説明されています。要約に食われて一方的に減っている、という単純な図式ではありません。

日本のEC事業者にとって、何が実際に変わるのか
結論から言えば、変わるのは順位ではなく流入の分母です。商品ページの検索順位が同じでも、上に要約枠が入れば表示位置は下がり、要約だけで疑問が解決すればクリックは起きません。順位表だけを見て「変わっていない」と判断すると、実際に減っているセッション数の理由を取り違えます。
日本市場については、Similarwebの数字が米国基準である点を明記しておきます。日本語検索で同じ43%が出るかは公開情報から確認できず、要確認です。ただし影響の出方には見当がつきます。楽天市場やAmazonの商品ページは検索結果でモール名ごと表示されることが多く、指名検索に近い動きをするため要約の影響は比較的穏やかです。逆に打撃を受けやすいのは、自社ECが「使い方」「選び方」「サイズの目安」といったお役立ち記事で集めていた層です。この種の疑問はまさにAIが要約しやすく、記事を開かずに済んでしまいます。
もう一段深いところで効いてくるのが、クエリが長くなっている点です。「ランニングシューズ 幅広」ではなく「幅広の足でも痛くなりにくい5,000円台のランニングシューズはどれ」といった聞き方が増えるなら、商品ページに書くべき情報は仕様の羅列ではなく、その質問に一文で答えられる記述に寄っていきます。引用を含む回答が1年で5倍以上に増えたという事実は、AIに拾われる書き方を整えれば流入の受け皿は残る、という意味でもあります。うるチカラでは商品ページの生成AI検索対応やAI経由の流入シフトを個別に解説していますので、あわせて確認してみてください。

いま着手できる3つの手順
第一に、流入の分母を分解して記録することです。Search Consoleの表示回数とクリック数の比、つまりクリック率の推移を、商品カテゴリ別・クエリ種別に月次で残します。表示回数が横ばいなのにクリック率だけが落ちているカテゴリがあれば、そこが要約に答えを持っていかれている場所です。順位だけを追っていると、この兆候は見えません。
第二に、質問に一文で答える記述を商品ページと記事の冒頭に置くことです。「この商品は誰の、どんな困りごとを解決するのか」を40字前後で言い切り、その直後に根拠を並べます。生成AIは抜き出しやすい形の文を引用しやすく、引用されればブランド名は回答内に残ります。クリックが起きなかったとしても、名前が答えの中に出るかどうかで指名検索の量は変わってきます。
第三に、AI経由の訪問を分けて数える準備です。ShopifyのようにAI経由の流入を計測する機能を持つ環境ならそれを使い、無い場合も参照元にAI関連ドメインが含まれるセッションを手元で切り分けておきます。件数が小さいうちに数え始めておくと、増えたときに変化として認識できます。逆に計測を後回しにすると、増減の理由が永久に分からなくなります。
いずれも大がかりな投資は不要です。要約枠に対して打てる手は、書き方の設計と計測の設計に集約されます。
まとめ
米国の検索でAI要約が43%まで広がった一方、他社の計測では13.7%から18%と幅があり、数字そのものを鵜呑みにする必要はありません。確かなのは、答えが検索画面の中で完結する場面が増えている方向性です。日本のEC事業者としては、順位ではなくクリック率で異変を捉え、質問に一文で答える記述を用意し、AI経由の流入を分けて数え始めるところから着手するのが現実的です。
参考文献
- TechCrunch「Google’s AI search is rapidly becoming the default, new data shows」
- Similarweb「The 2026 Generative AI Landscape Report」
- MLQ.ai「Google AI Overviews Reached 43% of U.S. Searches in Similarweb Data, but Methodology Is Thin」
- Alphabet 2026年第2四半期 決算に関するCEOメッセージ
- AI Overviewsの表示率に関する学術研究(arXiv)
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。