MetaがAIグラス実店舗を倍増|8→14店で体験型ECの3論点

Lab とは、Meta が AIグラスと Quest を実際に試着・体験させるために運営する直営小売店のことです。2024年9月の開発者会議 Connect でのポップアップが原型で、[Meta の公表](https://www.meta.com/blog/meta-lab-los-angeles-ray-ban-glasses-experiential-retail-matt-jacobson/)によれば来場者の9割超がこの体験スペースを訪れ、4人に1人以上が購入に至りました。同年11月にロサンゼルスへ常設店を構え、その後ニューヨーク、ホノルルと高級小売が集まる一等地を中心に広げています。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Meta は2026年秋、AIグラスを売る直営店「Meta Lab」を8店舗から14店舗へ倍増させます。

Modern Retailが2026年9月14日に報じたところによると、Meta は今秋に直営店 Meta Lab を6店舗新設し、9月10日開業のヒューストン店を皮切りに、アトランタ、サンディエゴ、シカゴ、アリゾナ州スコッツデール、ニューヨークのモイニハン駅に順次オープンします。先週時点で8店舗だった直営網は14店舗へとほぼ倍増する計算です。ネット企業が実店舗を増やすという逆行に見える動きですが、これは「オンラインだけでは売れない商材」の設計思想そのものを示しています。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Meta Lab が8→14店舗へ、Best Buy内の店舗も50カ所に

直営店だけではありません。2026年6月からはBest Buy 店内でのデモとフィッティング提供を開始し、年末までに50カ所のショップインショップ体制になる見通しです。単独店で世界観を作り、量販店内の小区画で接触面を稼ぐ、という二段構えになっています。

商品ラインも価格帯が広がりました。2025年に799ドルのディスプレイ内蔵モデルとアスリート向けの Oakley 協業モデルを投入し、2026年6月には299ドルの標準モデル、さらに399ドルのカイリー・ジェンナー協業モデルが加わっています。スマートグラス市場全体では、2026年5月までの12カ月で売上が233%伸びたという Circana の集計があり、Counterpoint Researchは Meta と EssilorLuxottica で市場シェア8割超と推計しています。

ニューヨークのMeta Lab店内で試着する来店客

日本のEC事業者が読み取るべき3つの論点

この動きから日本のEC事業者が持ち帰るべき論点は、商材の「試着コスト」「体験の設計対象」「新チャネルの前倒し検証」の3つです。

第一に、試着コストが高い商材はオンライン単独で伸ばしきれないという前提の再確認です。Meta の担当者は Modern Retail に対し、顔という最も重要な場所に着けるライフスタイル商品を売っていると語り、ネット販売だけに依存できないと説明しています。眼鏡・補聴器・ウィッグ・ブラジャー・シューズなど、体に密着してサイズと見え方が購入判断を左右するカテゴリでは、日本でも同じ構造が働きます。楽天市場や Yahoo!ショッピングで返品率が高止まりしている商材があるなら、原因は写真の質ではなく「試着の代替手段が無いこと」かもしれません。サイズ計測ツール、AR試着、返品送料無料の条件設計といった投資の優先度を見直す材料になります。

第二に、体験の設計対象が「店舗」ではなく「地域」だという点です。Meta Lab はニューヨークとロサンゼルスで DJ イベントを開き、ワイキキ店では地元コーヒーとハワイ製家具を置いています。多言語対応のセルフサービス端末も導入が進んでいます。この発想は実店舗を持たない事業者にも転用できます。ポップアップ出店や催事、地域イベントへの協賛を、単なる販売機会ではなく「その土地の文脈に合わせて商品の使い方を見せる場」として設計し直すと、EC側の指名検索とリピート率に返ってきます。実際、ホテル客室をショールーム化する動きや、Amazon依存から実店舗へ広げる段階設計も同じ流れにあります。

第三に、AIグラスが将来的な購買チャネルになる可能性への備えです。Meta のアプリ群は月間39億人が利用しており、そこに音声で応答する AI アシスタントを積んだ端末が加わります。Meta の AI エージェント Muse は既に米国App Store2位まで伸び、WhatsApp 経由での価格交渉や購買代行も試されています。グラスが「見ているものについて質問する」入り口になれば、商品情報が音声で読み上げられる前提で商品名と説明文を整える必要が出てきます。ただし現時点では市場は限定的で、GlobalData Retail の分析者はスマートグラスがスマートフォンのようなカテゴリになるという見方には懐疑的だと Modern Retail に述べています。過剰投資は不要で、動向の把握と自社データの整備までが妥当な範囲です。

ワイキキのMeta Lab店内の様子

プライバシー論争と、今後の初動アクション

見逃せないのは、この商材が強い逆風も受けている点です。2026年5月にテキサス州司法長官が Ray-Ban Meta グラスの調査を開始し、1月にはニューヨーク市警の対テロ部門が職員に注意喚起を出しています。無断撮影をSNSに公開する事例も報じられ、Meta は2026年8月にカメラ部の物理的な改変を検知すると自動停止する仕様変更を発表しました。カメラ付きウェアラブルを扱う、あるいは店頭で顧客に装着させる可能性のある事業者は、撮影の可否と告知の運用を先に決めておくべきです。

日本のEC事業者の初動としては、まず自社の主力商材について返品理由をサイズ・見え方・想定違いの3分類で集計し、試着代替に投資する価値があるかを数字で判断することです。次に、来年度の販促計画にポップアップや催事を「体験の場」として1回分だけ組み込み、EC側の指名検索数とリピート率の変化を測る設計にしておきます。そして、Meta が9月23日に開催する Connect での新ラインナップ発表を確認し、音声起点の商品検索が実用段階に近づくかを見極めます。この3つは、いずれも大きな設備投資を伴わずに始められます。

まとめ

Meta が直営店を8から14へ倍増させ、Best Buy内にも50カ所を展開する動きは、試着コストの高い商材はオンラインだけでは伸びないという事実を改めて示しています。日本のEC事業者にとっての要点は、返品データから試着代替への投資判断をすること、体験の場を地域文脈で設計し直すこと、そして音声起点の購買が来る前提で商品情報を整えておくことの3点です。焦って新チャネルへ投資するのではなく、いま持っているデータの読み直しから始めるのが現実的です。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/

引用元: Modern Retail

meta: MetaがAIグラス直営店Meta Labを8から14店舗へ倍増、Best Buy内も50カ所へ。市場は233%成長。日本のEC事業者が読むべき試着コスト・体験設計・音声購買の3論点を解説します。


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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