Merchant Centerの会話型属性とは、AI検索向けに商品情報を補う6つの任意項目のことです。
Googleは2026年5月のGoogle Marketing Liveで、Google Merchant Center に6つの会話型属性(conversational attributes)を追加しました。よくある質問と回答を最大30組、説明書などのPDFを最大5点、関連商品を最大30件まで、商品フィードに載せられるようになっています。狙いは、AI ModeやGeminiが「この掃除機はペットの毛に強いか」「このテントに合うグランドシートはどれか」といった自然文の質問に、商品データから直接答えられるようにすることです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)の現場知見にもとづき、6つの属性の中身、既存フィードとの関係、社内で属性を埋めるための作業フローを、AIを使ったプロンプト5本つきで解説します。
Merchant Centerの会話型属性で何が変わったのか
変化の核心は、商品フィードが「検索キーワードに合わせるためのデータ」から「AIの質問に答えるためのデータ」へ役割を広げた点です。これまでのMerchant Centerは、商品名・説明・価格・在庫・GTINなどの基本項目を正確に入れることが中心でした。検索する人がキーワードを打ち込み、そのキーワードと商品データが一致するかどうかで表示が決まっていたためです。
ところが、AI ModeやGeminiでは、買い物客が「3人家族で週末キャンプに使える、設営が簡単なテントは」のように長い文章で質問します。こうした質問に答えるには、商品名や説明文だけでは情報が足りません。Googleが会話型属性を追加したのは、商品の細かな特徴や使い方、組み合わせる商品といった情報を、AIが理解しやすい形で受け取るためです。
Search Engine Roundtable によると、この属性はAI Modeなどの「AIを使った検索面」で使われるほか、従来の検索体験の改善にもつながると説明されています。Googleの公式ヘルプ(Merchant Center ヘルプ)にも、会話型属性の説明ページが用意されています。
大事なのは、6つの属性がすべて任意項目であり、既存の商品フィードを置き換えるものではない点です。Productsup の整理では、会話型属性は既存の商品データと並べて、フィードまたはMerchant API経由で送る補助的な項目とされています。属性を入れなくてもショッピング広告の審査に影響はなく、入れた分だけAIが商品を理解する材料が増える、という位置づけです。
日本のEC事業者の立場で言えば、楽天市場やAmazonの商品ページに書いている情報のうち、Merchant Centerに載っていないものがどれだけあるかを棚卸しするきっかけになります。自社ECでGoogleショッピングに出稿している店舗はもちろん、今後AI検索からの流入を取りにいきたい店舗にとっても、無視できない変化です。なお、日本語環境や日本の商品フィードでAI Modeにどの程度反映されるかは、公式に国別の詳細が示されていないため、運用しながら確認する必要があります(要確認)。
6つの会話型属性と、それぞれに入れるべき情報
6つの属性は、「新しく増えた3つ」と「既存の考え方を明示する3つ」に分けると理解しやすくなります。新しく増えたのは、よくある質問、関連商品、ドキュメントリンクの3つです。残りの3つは、バリエーションのまとまり、バリエーションの軸、店舗内での人気度を明示するものです。
1つ目は、よくある質問と回答(question_and_answer)です。1商品あたり最大30組の質問と回答を登録できます。商品ページのFAQ、問い合わせで多い質問、レビューで繰り返し出る疑問をもとに作るのが基本です。たとえば電気ケトルなら「空焚き防止機能はありますか」「海外の電圧で使えますか」といった質問が候補になります。AIが買い物客の質問に答えるとき、最も直接的に使われやすい属性と考えられます。
2つ目は、関連商品(related_product)です。1商品あたり最大30件まで登録でき、複数の関係の種類を指定できるとされています。本体と交換用パーツ、本体とアクセサリー、セットで買われやすい商品などを結びつけるための属性です。「このプリンターに対応するインクは」という質問にAIが答えられるようになるため、消耗品や付属品の多いジャンルほど効果が見込めます。
3つ目は、ドキュメントリンク(document_link)です。取扱説明書や仕様書などのPDFを、1商品あたり最大5点、1点50MBまで登録できます。家電、工具、ベビー用品のように、説明書の内容が購入判断に影響するジャンルで効果を発揮します。説明書をすでにWebで公開している場合は、そのURLを載せるだけで済みます。
4つ目は、商品グループのタイトル(item_group_title)です。色やサイズ違いのバリエーションをまとめた「親」の商品名にあたります。これまでは各バリエーションの商品名から推測されていたまとまりを、明示的に伝えられるようになりました。
5つ目は、バリエーションの軸(variant_option)です。そのバリエーションが「色」で分かれているのか、「容量」で分かれているのかを示します。アパレルなら色とサイズ、食品なら容量と味、というように、買い物客が選ぶ観点をAIに伝える属性です。
6つ目は、人気度の順位(popularity_rank)です。店舗内での人気度を数値で示します。AIが「この店で人気の商品は」と問われたときの判断材料になると考えられます。数値の付け方は店舗の判断に委ねられているため、売上点数やレビュー件数など、社内で一貫した基準を決めておくことが大切です。
うるチカラでは、Googleの規約面の診断については Merchant Centerのポリシー診断スキルの記事 で解説しています。会話型属性は任意項目ですが、既存の必須項目に不備があるとそもそも商品が表示されないため、先に基本項目の健全性を確認しておくことを勧めます。
既存フィードとの関係と、補助フィードでの追加方法
結論として、会話型属性は既存の商品フィードには手を加えず、補助フィード(supplemental feed)として追加するのが最も安全な方法です。補助フィードとは、メインの商品フィードに対して、商品IDをキーに追加の項目だけを重ねるためのフィードのことです。
補助フィードを使う理由は2つあります。1つは、メインフィードが楽天市場やShopifyなどから自動で出力されている場合、その仕組みを変えずに項目を足せることです。もう1つは、会話型属性の作成に時間がかかっても、メインフィードの更新を止めずに済むことです。
具体的な手順は次の通りです。まず、Merchant Centerの商品ID(id)の一覧を書き出します。次に、Googleスプレッドシートなどで、id列と会話型属性の列(question_and_answer、related_product など)を持つ表を作ります。最後に、Merchant Centerのデータソース設定から、この表を補助フィードとして登録し、メインフィードと紐づけます。登録後は、Merchant Centerの商品詳細画面で属性が反映されているかを確認します。
Shopifyを使っている店舗では、Google & YouTubeアプリなどで自動連携しているケースが多いはずです。この場合も、会話型属性は補助フィードで足すほうが、アプリの設定を崩さずに済みます。自社ECの商品データをAIエージェントにどう見せるかという観点では、うるチカラの ChatGPTショッピングとShopifyのエージェント向けストアフロント準備を解説した記事 も参考になります。
注意したいのは、属性の値の書き方です。質問と回答は、商品ページや説明書と矛盾しない内容にする必要があります。AIが回答に使う以上、誤った情報を載せると、買い物客に誤解を与え、返品やクレームにつながります。特に食品や化粧品では、効能をうたう表現が薬機法や景品表示法に触れないよう、回答の文言を慎重に選んでください。
属性を埋めるための社内フローとAIプロンプト5本
会話型属性の作業で最も時間がかかるのは、フィードの設定ではなく「中身を作ること」です。数百SKUの商品に、それぞれ質問と回答を数組ずつ用意するのは、手作業では現実的ではありません。そこで、既存の資料からAIに下書きを作らせ、人が確認する流れを組みます。ここでは、Gemini やChatGPT、Claudeで使える5本のプロンプトを紹介します。
1本目は、問い合わせ履歴とレビューから質問候補を抜き出すプロンプトです。実際に買い物客が抱いた疑問を元にすることで、AI検索で聞かれやすい質問に近づけます。
プロンプト1:問い合わせとレビューからFAQ候補を抽出
以下は、商品「{商品名}」に関する問い合わせ履歴とレビューです。
購入前の買い物客が抱きそうな疑問を、質問の形で10個挙げてください。
条件:
1. 実際の問い合わせやレビューに根拠があるものだけを挙げる
2. 1つの質問は40文字以内
3. 同じ趣旨の質問はまとめる
4. 個人が特定できる情報は含めない
5. 各質問の根拠になった問い合わせ・レビューの要約を1行添える
問い合わせ履歴:{本文(氏名などは伏せ字済み)}
レビュー:{本文}
2本目は、質問に対する回答の下書きです。回答は商品ページや説明書の記載だけを根拠にさせ、推測を入れないことが重要です。
プロンプト2:FAQ回答の下書き(根拠限定)
以下の質問に対する回答を、商品情報と取扱説明書の記載だけを根拠に作成してください。
条件:
1. 回答の1文目で結論(はい/いいえ/条件付き)を言い切る
2. 各回答は120文字以内
3. 資料に記載がない質問は「記載なし」と出力し、推測で答えない
4. 効果・効能を保証する表現や、根拠のない最上級表現は使わない
5. 出力は「質問|回答」の形で1行ずつ並べる
質問一覧:{プロンプト1の出力}
商品情報:{商品ページの本文}
取扱説明書:{説明書のテキスト}
3本目は、関連商品の候補を洗い出すプロンプトです。消耗品や付属品の対応関係を整理します。
プロンプト3:関連商品の対応表づくり
以下の商品マスタから、商品同士の関係を洗い出してください。
関係の種類は次のいずれかで分類してください。
・本体と交換用パーツ
・本体とアクセサリー
・一緒に購入されやすい商品
各組み合わせについて、根拠(商品名や仕様の記載)を1行で示してください。
対応関係が確実でないものは「要確認」としてください。
商品マスタ:
{商品ID、商品名、型番、対応機種などの列を含むCSV}
4本目は、バリエーションのまとまりと軸を整理するプロンプトです。商品グループのタイトルとバリエーションの軸を決めます。
プロンプト4:バリエーションのグループ化と軸の整理
以下の商品一覧から、同じ商品の色違い・サイズ違い・容量違いを
グループにまとめてください。
各グループについて、
・グループのタイトル(バリエーション名を含まない商品名、60文字以内)
・バリエーションの軸(色、サイズ、容量、味など)
・グループに含まれる商品ID
を示してください。判断に迷うものは別に一覧にしてください。
商品一覧:
{商品ID、商品名、色、サイズ、容量の列を含むCSV}
5本目は、補助フィードの形式に整えるプロンプトです。人が確認済みの内容を、フィードに載せる形に変換します。
プロンプト5:補助フィード用の表への整形
以下の確認済みデータを、Merchant Centerの補助フィード用の表に整形してください。
列は次の通りです。
id, question_and_answer, related_product, item_group_title, variant_option
条件:
1. 商品IDごとに1行
2. 1つのセルに複数の値が入る場合は、指定の区切り方で並べる(区切り方は公式ヘルプに従う)
3. 元データにない値は空欄にする
4. 出力はCSV形式
確認済みデータ:
{プロンプト2〜4の出力を人が確認・修正したもの}
5本のうち、1・2は質問と回答、3は関連商品、4はバリエーション、5はフィードへの整形を担当します。どの段階でも、AIの出力をそのまま使わず、人が内容を確認してから次の段階に進むのが原則です。値の区切り方などの細かな書式は、公式ヘルプの最新の仕様に合わせてください。
対応で失敗しやすいパターンと回避策
失敗の多くは、属性を「埋めること」自体が目的になってしまうことから起きます。5,000社支援の中で何度も再現したパターンとして、3つ挙げておきます。
1つ目は、AIが作った回答をそのまま登録してしまうことです。AIは資料にない情報を補って、それらしい回答を書くことがあります。たとえば「食洗機に対応していますか」という質問に、説明書に記載がないのに「はい」と答えてしまう、といったケースです。回避策は、プロンプト2のように根拠を資料に限定し、「記載なし」を許容することです。記載がない質問は、商品ページ側の情報を補うきっかけとして扱います。
2つ目は、全商品に一律で属性を入れようとして作業が止まることです。数千SKUの店舗で、すべての商品に30組の質問を用意するのは現実的ではありません。回避策は、売上上位の商品や、問い合わせの多い商品から優先的に対応することです。ある家電ジャンルの中規模店舗の事例では、売上上位50商品に絞って質問と回答を5組ずつ用意するところから始め、2か月ほどで対象を広げていきました。
3つ目は、モールの商品ページとフィードの内容がずれることです。楽天市場やAmazonの商品ページを更新したのに、Merchant Centerの回答が古いままだと、AIが古い情報で答えてしまいます。回避策は、商品ページの更新手順に「補助フィードの該当行も直す」を組み込むことです。
費用・工数とKPIの目安
費用の結論は、「属性の設定自体は無料で、主なコストは中身を作る人の工数」です。会話型属性はMerchant Centerの標準機能として追加されたもので、利用に追加料金はかかりません。
工数の目安としては、1商品あたり質問と回答5組を作る場合、AIの下書きを使えば確認と修正で10〜15分程度、手作業だけなら30分以上かかる見込みです(商品ジャンルと資料の整い具合で変わります)。売上上位50商品から始めれば、担当者1人で1〜2週間程度で最初の対応を終えられる計算です。AIの利用料は、ChatGPT PlusやClaude Proなど月額20ドル前後のプランで十分に賄えます。
KPIは、Merchant Centerのパフォーマンス画面で確認できる表示回数とクリック数の変化を、属性を追加した商品と追加していない商品で比べるのが基本です。あわせて、問い合わせ件数の変化も追うと効果が見えやすくなります。FAQを整備した商品では、同じ内容の問い合わせが減ることが期待できるためです。AI Modeからの流入が計測上どう見えるかは、Googleの計測仕様の変更に左右されるため、定期的に確認してください。
会話型属性から読むAI検索時代の商品データの展望
今後の見通しとして、商品データは「人が読む商品ページ」と「AIが読むフィード」の2本立てで管理する時代に入ったと見ています。会話型属性は、Googleが商品ページの文章だけでなく、構造化されたデータから直接答えを作ろうとしていることを示しています。
独自の考察として強調したいのは、会話型属性の整備が、Googleだけでなく他のAI検索にも効く「資産」になるという点です。よくある質問、関連商品、説明書のPDFは、ChatGPTやPerplexityのショッピング機能、Amazonのアシスタントでも、商品理解の材料として価値があります。Merchant Centerへの対応を機に社内で整えたデータは、他のチャネルにも流用できます。うるチカラでも Google公式が示したAI検索経由のCVRを取り上げた記事 で、AI検索からの流入の質について触れています。
もう1つの論点は、社内の役割分担です。商品データの整備は、これまで商品登録の担当者だけの仕事になりがちでした。会話型属性では、カスタマーサポートの問い合わせ履歴や、商品企画の説明書が材料になります。部門をまたいで情報を集める仕組みを作れるかどうかが、AI検索で選ばれるかどうかを分けることになりそうです。
よくある質問
会話型属性は必須ですか
いいえ、6つの会話型属性はすべて任意項目です。入力しなくてもショッピング広告の審査には影響しません。ただし、AI ModeやGeminiが商品を理解する材料になるため、売上上位の商品から入力することを勧めます。
既存の商品フィードを作り直す必要はありますか
いいえ、作り直す必要はありません。会話型属性は、既存の商品データに補助的な項目として追加するものです。商品IDをキーにした補助フィードで追加すれば、メインフィードの仕組みを変えずに対応できます。
質問と回答は何組まで登録できますか
1商品あたり最大30組まで登録できます。最初から30組を用意する必要はなく、問い合わせやレビューで多い質問を5組ほど登録するところから始めるのが現実的です。
日本の店舗でも効果がありますか
会話型属性はグローバル向けの機能として案内されていますが、日本語環境でAI Modeにどの程度反映されるかは、国別の詳細が公式に示されておらず要確認です。属性を整えておけば、今後の対応拡大に備えられるうえ、問い合わせ削減などの副次効果も期待できます。
AIで作った回答を登録しても問題ありませんか
AIの下書きを使うこと自体は問題ありませんが、人の確認は欠かせません。AIは資料にない情報を補うことがあるため、回答の根拠を商品ページや説明書に限定し、誤りがないかを確認してから登録してください。
楽天市場やAmazonの商品ページにも影響しますか
いいえ、会話型属性はMerchant Centerの項目なので、楽天市場やAmazonの商品ページには直接影響しません。ただし、整備したFAQや関連商品の情報は、各モールの商品ページのFAQやおすすめ商品の見直しにも流用できます。
最初に何から始めればよいですか
最初の一歩は、売上上位20〜50商品について、問い合わせとレビューから質問候補を集めることです。プロンプト1で質問候補を出し、プロンプト2で回答を下書きし、人が確認してから補助フィードに登録する流れで始めてください。
まとめ
Merchant Centerの会話型属性は、よくある質問、関連商品、説明書のPDF、バリエーションのまとまりと軸、店舗内の人気度という6つの任意項目で、AI ModeやGeminiが商品を理解するための材料を増やす仕組みです。既存フィードは変えず、補助フィードで追加するのが安全な進め方です。作業の中心は中身づくりにあるため、問い合わせ履歴や説明書を材料にAIで下書きを作り、人が確認する流れを組んで、売上上位の商品から順に対応していくことを勧めます。
参考文献
- Google Merchant Center ヘルプ:会話型属性
- Search Engine Roundtable:Google Merchant Center Conversational Attributes
- Productsup:Google introduces 6 conversational attributes in Merchant Center
- Google 公式ブログ:Google Marketing Live のショッピング関連アップデート
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。