Google AI Modeに自社商品が出ない4つの理由と直す順番

Google AI Modeに自社商品が出てこない原因を、フィード属性・値の不一致・レビューschema・説明文の4層に分解。直す順番と実装プロンプト4本を日本のEC事業者向けに解説します。

投稿日: カテゴリー Gemini

AI Modeとは、Google検索の会話型の回答モードのことです。

「AI Modeで自社商品名を聞いても出てこない」という相談が増えました。順位を上げる話ではないので、従来のSEOの延長で考えると打ち手を見誤ります。会話型の買い物回答は、商品フィードから構築されたShopping Graphを土台にしており、そこに載っている情報の完全性が露出を左右します。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、商品が出てこない理由を4つに分解し、直す順番を明示します。日本語の解説は「AI Modeとは何か」の紹介で止まっているものが多いので、フィード、構造化データ、レビュー、説明文という4層の優先順位まで踏み込みます。

AI Modeの商品回答が何を見ているのか

先に構造を押さえます。AI Modeが商品を挙げるとき、根拠にしているのはShopping Graphです。これはMerchant Centerに送られた商品フィードから構築された構造化データの層で、AI Mode、AI Overviews、Geminiの買い物回答に共通して使われます。つまり、広告を出していなくても、フィードを送っていれば土俵には乗ります。逆に、フィードの品質が低ければ、サイトのコンテンツをいくら書いても会話型の回答には拾われにくくなります。

この構造は2026年に入って明確になりました。MarTechの報道によると、GoogleはMerchant CenterにAI performance insightsを追加し、AI買い物体験での商品の見え方をリテーラーが直接確認できるようにしています。提供されるのは、シェアオブボイス、買い物ファネルの成績、買い物客が使う会話クエリの傾向、そして商品属性の欠落です。

ここで注目すべきは最後の項目です。Googleは、色、素材、スタイルといった構造化された商品情報の欠落を明示的に指摘します。属性が欠けていると、自然言語の検索と商品を突き合わせられないためです。「黒くて撥水するトートバッグ、A4が入るもの」という問いに答えるには、色、素材、寸法が属性として存在している必要があります。商品説明文の中に文章として書いてあるだけでは、突き合わせの精度が落ちます。

このレポートのロールアウト対象は、米国、カナダ、オーストラリア、インド、ニュージーランドと案内されています。日本は初期の対象に含まれていません。日本での提供時期は公式に示されておらず、要確認です。ただ、レポートが見えないだけで、Shopping Graphに載る仕組み自体は日本のMerchant Centerでも同じように動いています。測れないが効いている、という状態だと理解してください。

MarTechは「リテーラーは商品フィードをSEOコンテンツのように扱う必要が出てくる」と指摘しています。完全性、文脈、自然言語との関連性が問われる、という趣旨です。この転換は、フィードを「広告のための設定作業」と捉えている運用体制では対応しづらい部分です。

商品が出てこない4つの理由

原因を4層に分けます。上から順に効くので、この順番で直してください。

理由1:フィードの必須属性が欠けている

最も多いのがこれです。GTIN、ブランド、色、素材、サイズ、対象性別、対象年齢といった属性のいずれかが未入力だと、条件付きの問いに対して候補から外れます。特に色と素材は、会話型の検索で頻出する絞り込み条件です。

日本のカタログでよく見るのは、色を「ブラック系」「ネイビー系」のように独自表記で入れているケースです。Googleが想定する値と揃っていないと、突き合わせが効きません。サイズも同様で、「M」だけでは不十分な場面があります。実寸を別属性として持つ設計にしてください。

理由2:フィード、サイト、モールで値がずれている

価格と在庫の不一致は、会話型の回答では致命傷になります。人間の買い物客は「サイトに行ったら少し高かった」を許容しますが、エージェントやAI回答は「いま買える価格」を前提に答えを組み立てます。ずれがあると、回答の信頼性を保てないため候補から外れる方向に働きます。

現場で繰り返し見るのは、セール開始日と終了日の前後で不一致が集中するパターンです。楽天とAmazonの両方を回している店舗で観測されたのは、自社ECのセール価格をフィードに反映するのが1日遅れ、その1日だけ商品が広告からもAI回答からも消えていたケースでした。

理由3:レビューの構造化データが薄い、または実データと合っていない

会話型の回答は、比較と推薦の性質を持ちます。「どっちがいい?」という問いに答えるには、評価と評価件数が必要です。レビューのschemaが入っていない商品は、比較の対象として扱われにくくなります。

ただし、実データに基づかない評価を書くのは逆効果です。親商品と子商品でレビュー件数を二重計上している、モール側の件数と自社サイトの件数が食い違っている、といった状態は、信頼性の判定でマイナスに働きます。件数と平均点は、必ず1つのソースから機械的に出す設計にしてください。

理由4:商品説明の情報量が足りない

ここが最後です。順番として最後なのは、上の3層が整っていないと説明文を厚くしても効かないためです。逆に、上の3層が整っている商品は、説明文の情報密度が最後の差を作ります。

会話型の検索で効くのは、条件と例外を明示した記述です。「使えます」より「この条件なら使えます、この条件では使えません」のほうが、AIは正確に引用できます。非対応ケースを書くと売れなくなると考える方がいますが、ある食品ジャンルの中規模店舗の事例では、アレルギー表示と保存条件を詳細に書き足したところ、問い合わせ件数が減り、返品理由の内訳も変わりました。

直す順番と実装プロンプト4本

理由に対応する形で、4手順とプロンプト4本を用意しました。ChatGPTClaudeGeminiのいずれでも動きます。2026年7月時点の主力は、OpenAIがGPT-5.6系(2026年7月9日公開)、GoogleがGemini 3.6 Flash(2026年7月21日公開、トークン消費を最大17%削減)、AnthropicがClaude Opus 5(2026年7月24日公開)です。フィードCSVのような大量データを一度に処理するならコンテキスト長の大きいモデル、定型的な変換を大量に回すならコストの低いモデル、という使い分けが実務的です。

手順1:属性欠落の棚卸し

(用途タイトル:フィード属性の欠落診断)

プロンプト1:Merchant Centerフィードの属性欠落を診断する

あなたはGoogle Merchant Centerのフィード設計に精通したコンサルタントです。
以下の商品フィードを分析し、AI買い物回答に拾われるために不足している属性を指摘してください。

入力:
- 商品フィード(id, title, description, link, image_link, price, sale_price,
  availability, brand, gtin, mpn, condition, color, material, size, pattern,
  age_group, gender, product_type, google_product_category を含むCSV):{貼り付け}
- 主要カテゴリ:{カテゴリ}

分析:
1. 属性ごとの充足率を算出し、低い順に並べる
2. 色・素材・サイズ・パターンについて、値が独自表記になっていないかを判定する
   (例:「ブラック系」「ネイビー系」など、標準的でない表記を検出)
3. サイズが記号のみ(S/M/L)で実寸が無い商品を抽出
4. google_product_category の指定が粗すぎる商品を抽出
5. 会話型の検索で使われそうな絞り込み条件のうち、
   このフィードでは答えられないものを列挙する

出力:属性別の充足率、独自表記の検出結果、優先度A/B/Cに分けた修正リスト。

手順2:3点照合による不一致の潰し込み

(用途タイトル:価格・在庫の不一致検出)

プロンプト2:フィード・サイト・モールの3点で価格と在庫を照合する

あなたはEC事業者のデータ整合を担当するアナリストです。
以下の3系統のデータを突き合わせ、不一致を検出してください。

入力A(Merchant Centerフィード):{商品ID, price, sale_price, availability}
入力B(自社サイト実表示):{商品ID, 表示価格, セール価格, 在庫状態}
入力C(モール掲載、ある場合):{商品ID, 販売価格, 在庫状態, モール名}

検出:
1. 価格の差(1円でも報告。税込・税抜の混在も検出)
2. セール価格の設定有無の食い違い
3. 在庫状態の食い違い
4. モールにあって自社フィードに無い商品、その逆

追加分析:
- 不一致が発生した日付の傾向(セール開始日・終了日に集中していないか)
- 更新頻度から推測される連携の遅延時間

出力:不一致リスト(項目/各系統の値/推定原因)と、
連携フローのどこを直せば再発しないかの提案。

手順3:レビュー構造化データの整合確認

(用途タイトル:レビューschemaの実データ整合)

プロンプト3:レビュー構造化データと実データの整合を確認する

あなたはテクニカルSEOの監査担当者です。
以下を突き合わせ、レビュー関連の構造化データが実データと整合しているか判定してください。

入力A:商品ページのJSON-LD(Product / aggregateRating / review 部分)
入力B:実際のレビューデータ(件数、平均点、投稿日の範囲)
入力C:親子バリエーションの構成(親商品IDと子商品IDの対応)

チェック:
1. ratingValue と実データの平均点の一致(小数第1位まで)
2. reviewCount と実件数の一致
3. 親商品と子商品でレビューが二重計上されていないか
4. review 要素の日付・著者が実データに存在するか
5. bestRating / worstRating の指定が実際の評価尺度と一致するか

ルール:実データに存在しない評価を作らない。不足は「データなし」と報告する。
出力:項目別の判定表と、修正が必要な箇所の具体的な修正案。

手順4:条件と例外を書き切る商品説明

(用途タイトル:条件明示型の商品説明生成)

プロンプト4:会話型検索に耐える商品説明を作る

あなたはEC事業者の商品説明を担当するライターです。
以下の情報から、条件と例外を明示した商品説明を作成してください。

入力:
- 商品名:{商品名}
- カテゴリ:{カテゴリ}
- スペック(寸法・重量・素材・容量・電源など):{値}
- 使える条件:{値}
- 使えない条件・非対応ケース:{値}
- 想定利用シーン:{値}
- 保証・返品条件:{値}
- レビューで頻出する言葉:{値}

条件:
1. 冒頭1文で「誰の、どんな場面に向くか」を40字以内で言い切る
2. 買い物客が会話で使う形容(軽い、静か、乾きやすい、A4が入る 等)を、
   根拠となる数値とセットで書く
3. 「〜の場合は使えます/〜の場合は使えません」という対で条件を書く
4. 数値には必ず単位を付ける
5. 薬機法・景品表示法に触れる表現(治る、効く、日本一、絶対、No.1)を使わない
6. 入力に無い情報を追加しない

出力:商品説明本文(400〜700字)と、
使った「会話語×根拠」のペア一覧、書けなかった項目のリスト。

失敗例と回避策

3つ挙げます。

1つ目は、商品説明だけを生成AIで大量に書き換えて満足するパターンです。前述のとおり、属性が欠けている状態で説明文だけ厚くしても、突き合わせの土俵に乗りません。フィードの属性充足を先に片付けてください。順番を逆にすると、労力の割に何も動かないという結果になります。

2つ目は、モール出店のみで自社ECを持たない事業者が、Merchant Centerに登録できないと諦めてしまうケースです。楽天市場やYahoo!ショッピングの店舗ページを直接フィードに載せる経路は用意されていませんが、モール内の商品情報を厚くしておくこと自体は、外部の生成AIがウェブ上の情報から商品を説明する材料になります。加えて、小規模でも自社ECを持ってMerchant Centerに接続すれば、Google側の導線を自社で握れます。この判断は月商規模と運用体制で決まる部分なので、一律には言えません。

3つ目は、AI performance insightsが日本で使えないことを理由に、施策そのものを先送りする判断です。レポートが見えないだけで、Shopping Graphは日本でも動いています。測定できないなら、代わりに測れる指標を置いてください。商品不承認率、属性充足率、価格不一致件数の3つで、施策の進捗は十分に管理できます。

KPI設計と費用・工数目安

追う指標は5つです。属性充足率(色・素材・サイズ・GTINの4項目)、価格不一致件数、Merchant Centerの商品不承認率、レビューschemaの整合エラー件数、そして商品説明の平均文字数。いずれも日本にいながら測れます。

工数の目安を出します。商品1,000点規模で手順1から4までを一巡させると、初回は担当1名で25〜40時間程度というのが現場感覚です。属性の標準値へのマッピング作業が最も時間を食います。2回目以降は差分だけなので、月次で3〜6時間に収まります。

費用は、生成AIのサブスクリプションが月20米ドル前後、フィード管理ツールを使う場合は別途という構成です。APIで1万点規模を一括処理する場合でも、テキスト生成のトークン費用は数千円から数万円のレンジに収まります。人件費が支配的なコストです。

効果については断定しません。AI Mode経由の流入はリファラでの切り分けが難しく、日本語での検証データも公開されていないためです。ただし、属性充足率の改善はショッピング広告の配信対象拡大に直結するため、AI Modeを抜きにしても投資回収の説明は立ちます。Merchant Centerのポリシー面の整理はGoogle Merchant Centerのポリシー診断で扱った手順とあわせて進めると効率的です。

今後の展望と独自考察

Merchant Centerの位置づけが変わったこと自体が、この話の本質だと考えています。かつては広告配信のためのデータ入稿窓口でした。いまは、AI買い物体験における自社商品の可視性を左右する基盤になりつつあります。社内で「広告担当が触るツール」として扱われている場合、商品部やカタログ担当を巻き込む体制変更が先に必要になるはずです。

もう1つ、シェアオブボイスという指標がレポートに入った点に注目しています。順位ではなく、類似ブランドとの比較で「どれだけ言及されたか」を測る指標です。会話型の回答では、1位と2位という並びではなく、推薦の文脈で名前が出るかどうかが問われます。これは検索順位とは別の競争軸で、測り方も打ち手も変わります。

日本市場については、AI performance insightsの提供が始まる前に、独自にシェアオブボイスを測る運用を作っておく価値があると考えます。方法は単純で、自社カテゴリの代表的な質問を20本ほど決め、月1回AI Modeとその他の生成AIに投げて、自社商品が挙がった回数を記録するだけです。粗い指標ですが、ゼロよりはるかにましです。この観点は、Googleのエージェント商取引規格UCPへの対応と同じ土台の上にあります。フィードの品質という1つの資産が、複数の入口に効く構造になってきました。

よくある質問

Google AI Modeとは何ですか

AI Modeとは、Google検索の会話型の回答モードのことです。買い物に関する問いには、Merchant Centerのフィードから構築されたShopping Graphを根拠として商品が挙がります。従来の検索順位とは別の仕組みで動いています。

広告を出していないと商品は出ませんか

いいえ、広告出稿は必須ではありません。Merchant Centerに商品フィードを送っていれば、無料リスティングの枠組みでShopping Graphに載ります。広告の有無より、フィードの完全性のほうが影響します。

何から直せばいいですか

フィードの属性欠落からです。色、素材、サイズ、GTINの4項目を売上上位商品で100%にすることを最初の目標にしてください。商品説明の書き換えはその後で効きます。

日本でもAI performance insightsは使えますか

いいえ、2026年7月時点では米国、カナダ、オーストラリア、インド、ニュージーランドへの提供が案内されている段階です。日本での提供時期は要確認です。

楽天やYahoo!だけで運営していても対策できますか

はい、部分的にはできます。モール内の商品情報の解像度を上げることは有効です。ただしMerchant Centerを使った直接的な対策には、自社ECサイトが必要になります。

レビューschemaは入れたほうがいいですか

はい、実データに基づく限りは入れるべきです。会話型の回答は比較と推薦の性質を持つため、評価と件数があるほうが候補に入りやすくなります。ただし実態と合わない数値を記述するのは逆効果です。

効果が出るまでどれくらいかかりますか

フィードの修正はMerchant Centerの再クロールを経て反映されるため、属性の変更が広告面に効くまでは数日から数週間が目安です。会話型回答への反映時期は公開されておらず、要確認です。


著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)


参考文献

※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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