Googleの検索結果がAIに置き換わっていく流れに、ユーザーの一部が明確な拒否反応を示し始めました。プライバシー重視の検索エンジンDuckDuckGoのアプリインストールが、米国で1週間平均18.1%、5月25日には前週比30.5%も増えたのです。AI検索離れは一過性のニュースではなく、日本のEC事業者の集客チャネルにも関わる構造変化のシグナルです。本稿では何が起きたかを整理し、楽天やAmazon、Shopifyで店舗を運営する立場で備えるべき3つの論点を示します。
何が起きたか:AI検索を「強制」されたユーザーの反発
TechCrunchによると、DuckDuckGoの米国アプリインストールは5月20〜25日の平均で前週比18.1%増、ピークの5月25日には30.5%増を記録しました。iOSに限ると平均33%増、ピーク時は69.9%増です。第三者分析のApptopiaも、米国の1日あたり平均ダウンロード数が29%、世界全体でも12%増えたと報告しています。AIを一切挟まない検索ページであるnoai.duckduckgo.comへのアクセスも平均22.7%増え、通常はアクセスが落ちる連休中も6日連続で伸び続けました。
背景にあるのはGoogleの検索体験の変化です。従来の青いリンク一覧の上に、質問へ直接答えるAIオーバービューやAIモードが大きく差し込まれるようになりました。GoogleのAIモードは月間10億ユーザーを突破し、クエリ数は四半期ごとに倍増しています。DuckDuckGoのCEOは「Googleはオプトアウトの手段もないままAIを押し付けている」と批判し、ユーザーにAIをどれだけ使うかを選ばせる立場を打ち出しました。同社はAIチャットのDuck.aiも無料提供しますが、訴求の軸はあくまで「選べること」です。なおGoogleの検索担当VPは、AIモードはデフォルトではないと説明しています。
日本のEC事業者にとっての論点
DuckDuckGoの国内シェアは数%にも満たないとみられ(要確認)、日本のEC集客にこの検索エンジンが直接効いてくるわけではありません。重要なのは、AI検索の強制に対する「疲れ」と「選択肢を求める声」が無視できない規模で表面化した点です。日本でもGoogleのAIによる概要やAIモードは順次拡大しており、商品名やお悩みワードで検索した人が、青いリンクを踏む前にAIの要約で満足してしまう場面が増えています。
これはEC事業者にとって、検索からの自然流入が二極化することを意味します。一方にはAIの要約に答えを求める層、もう一方にはAIを避けて自分で一次情報や比較を読みたい層がいます。商品ページやノウハウ記事への流入をGoogle検索だけに依存していると、AIオーバービューに要約された瞬間にクリックが目減りするリスクと、AI回避層を取りこぼすリスクの両方を抱えることになります。検索という単一チャネルの天候に売上が左右される構造そのものを、見直す時期に来ています。
今後の展望と初動アクション
第一に、AIオーバービューやAIモードに引用されやすい記事構造を整えることは続けてください。結論を冒頭に置き、章末にFAQを設け、商品スペックやレビューを構造化しておくと、AIの要約に取り上げられやすくなります。第二に、AIを避けて詳細を読みたい層に向けて、従来の検索結果から商品の比較情報やレビュー、使い方解説へ確実に導く導線を保つことです。AIO最適化と従来型SEOは、どちらかではなく両立させるべき投資です。第三に、検索への依存度そのものを下げる施策を並行して進めてください。楽天市場ならRMS内での再来訪・リピート施策、Amazonならブランドストアやフォロー、Shopifyなどの自社ECならメールやLINE公式、SNSによる指名検索の育成です。あわせて、サーチコンソールの表示回数とクリックの乖離や、AI経由の参照流入を分けて計測し、青いリンクからの流入が静かに痩せていないかを早めに把握しておきましょう。
まとめ
DuckDuckGoの急増は、AI検索を歓迎する人ばかりではないという事実を可視化しました。日本のEC事業者がとるべきスタンスは、AIに最適化しつつ従来の検索導線も守り、同時に検索以外の接点を育てて発見チャネルを分散させることです。AI検索離れの兆候を、自社の集客が一つの蛇口に依存していないかを点検するきっかけにしてください。
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引用元: TechCrunch
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。