AIアシスタントは商品探しの入口にはなっても、購入の決め手にはまだなっていません。
Modern Retailは2026年10月22日、ホリデー商戦に向けた複数の調査をもとに、AIで商品を見つけた消費者の多くが、購入前にレビューや価格を確認していると報じました。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、日本のEC事業者の視点で整理します。AIに推薦されることと、実際に買われることの間には、レビューという大きな関門が残っています。
AIは入口、レビューが決め手という調査結果
AI経由の購買行動とは、ChatGPTなどの生成AIに商品を尋ね、その提案をきっかけに購入を検討する行動のことです。Modern Retailが紹介した調査によると、この行動はまだ限定的です。Amazon向けのソフトウェアを提供するFeedvisorの消費者購買行動レポート2026では、ChatGPTを商品探しの起点にする人が16%、ChatGPT上で実際に購入する人が9%、AIに薦められた商品をその場で買う人は5%でした。残りの人は、GoogleやAmazonで価格を確かめています。
マーケティング会社のPartnerCentricの調査では、AIの提案を受けたあとの行動として、レビューを確認する人が33%、価格を比較する人が22.3%、Amazonなど他の小売店を検索する人が18.8%、ブランドサイトを訪れる人が14.8%でした。さらに、配送や返品の規定によって購入先を変えることが「よくある」以上と答えた人も33%います。AIへの信頼度が高い層でも、42.2%が購入前にレビューを求めていると報じられています。
なお、記事には各調査のサンプル数や調査期間が書かれていません。数字の読み取りには要確認の姿勢が必要です。
日本のEC事業者にとっての論点
調査は米国の消費者を対象にしたものと見られ、日本の数値は要確認です。それでも方向性は日本のEC運営に直結します。AIが商品を挙げてくれても、消費者は最終的に楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの商品ページに降り立ち、レビュー件数と評価、価格、送料、返品条件を見て判断する構図は、日本でも変わらないと考えられます。
つまり、AI時代の集客対策は、AIに引用されるための情報整備と、引用されたあとに選ばれるための商品ページ品質の二本立てになります。AIに紹介されたのにレビューが少ない、送料が分かりにくい、返品条件が曖昧という状態では、せっかくの流入が競合に流れてしまいます。AI経由の流入は、まだ全体の一部です。しかし、その一部のお客様は比較検討の意識が高い層である可能性があります。
今後の展望と初動アクション
AIが買い物のどこまでを担うのかは、まだ定まっていません。Modern Retailの記事によれば、AIエージェントに任せたい用途として、レストラン予約が12.1%、食料品の購入が11.0%、衣料品の購入が7.3%という調査結果も紹介されています。商品購入を丸ごと任せたい人は、現時点では少数派です。
そのため、今すぐ取り組むべきことは次の3点です。1点目は、レビューの量と質を高めることです。購入後のフォローメールで、写真付きレビューを依頼する運用を整えてください。2点目は、送料、納期、返品条件を商品ページの上部に明記し、AIが要約しても誤解が出ない書き方にすることです。3点目は、ブランドサイトや各モールの商品名、スペック表記を統一し、どの接点でも同じ正確な情報が出るようにすることです。AIに推薦されるための準備と、推薦後に選ばれるための準備は、同時に進める必要があります。
まとめ
AIは商品を見つける入口になりつつありますが、購入の決め手は今もレビュー、価格、配送条件です。日本のEC事業者は、AI対策を単独で考えず、商品ページの信頼性を高める日々の運営とセットで進めるのが現実的です。まずは自店の主力商品のレビュー件数と返品条件の記載を見直すところから始めてください。
参考文献
- Modern Retail: AI boosts discovery but reviews still seal the deal, new research shows
- Feedvisor: Amazon消費者購買行動レポート2026
- BusinessWire: PartnerCentric調査発表(AIを信頼する消費者とクリエイター)
- Channel V Media: State of AI Adoption 2026
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
引用元: Modern Retail
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。