GoogleがAI回答で約100媒体に対価|広告収入比0.1%未満の3論点

GoogleがAI Overviews・AI Mode・Geminiの回答に貢献した記事の対価を約100媒体へ試験的に支払っていると報じられました。広告収入比0.1%未満という金額の実態と、日本のEC事業者が押さえたい3つの論点を解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

GoogleがAI回答の元記事に対価を払う試験を約100媒体で進めています。

米テック媒体のThe Informationは2026年9月29日(米国時間)、GoogleがAI Overviews(AIによる概要)やAI Mode、Geminiの回答づくりに貢献したコンテンツについて、約100のデジタル媒体に支払いを行っていると報じました。ただし関係者によると、小規模から中規模のブログやサイトでは受け取る額が広告収入の0.1%に満たない例もあり、The Decoderは「ほぼ誰にも、ほぼ何も払っていない」という趣旨の見出しで伝えています。自社サイトやオウンドメディアでGoogle検索からの集客を狙うEC事業者にとっても、AI回答と自社コンテンツの関係を見直すきっかけになるニュースです。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が解説します。

Google Search Consoleに表示されるAI contribution pilotの登録画面(Search Engine Land掲載のスクリーンショット)

GoogleのAI contribution pilotとは何か

AI contribution pilot(AI貢献パイロット)とは、GoogleのAI機能の回答に自社コンテンツが大きく貢献した場合に、媒体へ報酬が積み上がる試験プログラムのことです。Search Engine Landによると、この仕組みはサイト運営者向けの管理ツールGoogle Search Consoleの機能として提供されており、対象は一部の媒体に限られています。登録画面には、参加する製品のAI生成回答にコンテンツが大きく貢献したときに収益が積み上がる旨が表示されます。

経緯を整理すると、Search Engine Landの編集者は2026年4月の時点でSearch Console上のAI contributionのレポートに気づいていましたが、当時Googleは取材に回答していませんでした。9月14日にはDigidayが、Googleが貢献の価値に応じて支払うAIライセンスの仕組みを静かに広げていると報道し、Googleも高品質なコンテンツへの報い方を探る初期段階の学習パイロットであることを認めました。そして9月29日のThe Informationの報道で、対象がおよそ100媒体に及んでいることが明らかになりました。

Digiday によると、声がかかった媒体は少なくとも数十社にのぼり、大手よりも中小規模の媒体に受け入れられやすく、ニュース以外の分野にも広がっているとのことです。

金額の小ささと算定の不透明さが最大の論点

今回の報道で最も問題視されているのは、金額の小ささと算定根拠の不透明さです。AI Weeklyのまとめによると、参加した媒体のSearch Consoleには月ごとの支払額を示すウィジェットが追加されますが、どのページが収益を生んだのか、どのくらいの頻度で回答に使われたのか、どう計算されたのかは確認できません。Digiday の取材に応じた関係者は「かなりのブラックボックスだ」と語っています。

金額面では、The Informationが、試験に参加する小〜中規模のブログやサイトの複数で、支払額が広告収入の0.1%未満にとどまると伝えています。月の広告収入が100万円のサイトなら、単純計算で1,000円に届かない水準です。

さらにAI Weeklyは、支払いプログラムから抜けてもGoogleのAI機能でのコンテンツ利用は止まらず、受け取りを断ることと利用を断ることは別の判断になると指摘しています。Investing.comの要約によると、Googleはこれまで、検索は媒体へトラフィックを送っているため回答に使われたコンテンツに対価を払う必要はないという立場をとってきました。しかしAI Overviewsの普及で検索からの流入は大きく減り、一部の媒体は訴訟を起こしています。Search Engine Landは、米国のデスクトップ検索の39%でAI Overviewsが表示されているというComscoreのデータも報じています。

日本のEC事業者にとっての3つの論点

日本でもAI Overviewsは2024年8月から「AIによる概要」として提供されていますが、今回のパイロットに日本の媒体が含まれているかは報道からは確認できず、要確認です。そのうえで、日本のEC事業者が押さえたい論点を3つに絞ります。

1つ目は、AIからの対価を収益源として期待しないことです。対価の対象は主に媒体(パブリッシャー)で、中小規模のサイトでは広告収入比0.1%未満という報道もあります。自社ECサイトの商品ページやオウンドメディアの記事がAI回答に使われても、それで収益が生まれるとは考えず、引き続き「回答の中で引用され、クリックしてもらう」ことを成果指標に置くのが現実的です。AI Overviewsへの具体的な対策はAI Overview対策の解説記事にまとめています。

2つ目は、AIが自前では作れない一次情報を厚くすることです。Googleが支払いの条件に掲げるのは、回答への「大きな貢献」です。どのサイトにも書ける一般論よりも、自社で計測した商品サイズ、実際の使用レビュー、素材や産地の具体情報、よくある質問への明確な回答といった一次情報の方が、回答の根拠として採用されやすいと考えられます。これは報酬の有無にかかわらず、AI検索で引用されるための基本でもあります。

3つ目は、Google検索に依存しない集客経路を並行して持つことです。楽天市場やAmazonのモール内検索、自社ECのメルマガやLINE公式アカウント、ブランド名での指名検索など、GoogleのAI回答を経由しない接点を育てておけば、流入減の影響を和らげられます。AI Overviewsの表示拡大が流入に与える影響はAI Overviewsの表示率とEC流入の記事でも取り上げています。

加えて、自社メディアを運営していてGoogleからパイロットへの招待が届いた場合は、参加条件をよく読んでから判断することをおすすめします。AI Weeklyは、参加によって将来の権利主張に影響が出ないかという論点を提示しています。

今後の動き

Googleは今回の仕組みを初期段階の試験と位置づけており、対象媒体の拡大と算定方法の開示が今後の焦点になります。媒体側からは、どのページがどれだけ回答に貢献したのかを示すデータの開示を求める声が強まるとみられます。媒体の流入減への対応として、Googleは8月にも媒体向けの新しい施策を打ち出しており(関連記事)、AI検索と媒体の関係をめぐる調整は当面続きそうです。

まとめ

GoogleはAI Overviews、AI Mode、Geminiの回答に貢献したコンテンツへの支払いを約100媒体で試験していますが、小〜中規模サイトでは広告収入比0.1%未満の例もあり、算定根拠も見えません。日本のEC事業者は、AIからの対価を当てにせず、一次情報の充実とGoogle以外の集客経路づくりを進めることが、最も確実な備えになります。

参考文献

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https://uruchikara.jp/contact/

引用元: Search Engine Land


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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