Pinterestビジュアル検索広告|非指名96%とEC集客3つの論点

Pinterestが2026年9月、検索結果に商品広告を出せるビジュアル検索広告を発表しました。上位検索の96%を占める非指名検索の面をどう使うか、Performance+の日本実績とあわせて、EC事業者が押さえるべき3つの論点と初動アクションを解説します。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Pinterestが2026年9月16日、検索結果に商品広告を出せるビジュアル検索広告を発表しました。

年次イベント「Pinterest Presents」で公開された新機能群のうち、日本のEC事業者にとって最も影響が大きいのがこのビジュアル検索広告(Visual Search Ads)です。ユーザーが「主張のあるハンドバッグ」のように漠然と探している段階の検索結果に、スポンサー商品を差し込める仕組みで、数週間以内に世界各地でベータ提供が始まります。Pinterestの上位検索の96%はブランド名も商品名も入らない非指名検索です。つまり、買うものが決まっていない人の目の前に商品を置ける在庫が、広告として売り出されたことになります。

Pinterest Presentsで何が発表されたか

発表の中心は3つです。Modern Retailによると、1つ目がビジュアル検索広告で、検索結果とピンの拡大表示の両方に商品広告を出せます。ユーザーはそこから直接、販売元のサイトで購入できます。市場開拓担当バイスプレジデントのChloe Wixは、この機能について「新規のクリエイティブ制作は不要です」と述べ、すでに持っている素材のまま下位ファネルの成果を取りにいける点を強調しました。

2つ目が、AI運用型広告スイートPinterest Performance+の拡張です。2024年にベータ提供が始まった同スイートに、手動のABテスト機能が加わります。あわせて、季節の新商品投入のような特定の局面で、どの商品を優先的に露出させるかを広告主側が指定できるようになります。

3つ目が一般ユーザー向けの「Restyle」です。自室をカメラで撮ると、Pinterest Intelligenceがボヘミアンやインダストリアルといった別のテイストに置き換えた姿を生成し、そこに映る照明やタイルをそのまま購入できます。まず米国とカナダでベータ提供される予定で、日本での提供時期は現時点で公表されていません(要確認)。

Pinterestの検索結果に表示される新しい広告フォーマットの画面イメージ

規模の裏付けも示されました。月間利用者は世界で6億4,000万人、そのうち半数以上がZ世代です。月間の検索数は800億回を超え、その半分以上が商品の購入か特定のアイテム探しに関するものだといいます。チーフビジネスオフィサーのLee Brownは、広告主への有料クリックがこの3年で5倍に増えたと説明しました。業績面では、2026年4〜6月期の売上高が前年同期の9億9,820万ドルから18%増えたとCNBCが報じており、次の四半期は11億9,000万ドルから12億1,000万ドルを見込んでいます。

日本のEC事業者にとっての3つの論点

第1の論点は、刈り取り面の在庫が増えたことです。楽天市場のRPPやAmazonのスポンサープロダクト広告は、検索窓にすでに言葉を打ち込める人、つまりある程度買うものが定まった人を取りにいく設計です。一方でPinterestが今回売り出したのは、その手前、まだ言葉になっていない需要の面です。生成AI検索の普及で従来の集客導線が崩れはじめ、実店舗への回帰を選ぶブランドが出てきている状況を踏まえると、非指名の面を早めに押さえておく意味は以前より大きくなっています。

第2の論点は、既存資産がそのまま在庫になる点です。日本でもPerformance+の実績はすでに出ています。AdverTimesに掲載されたピンタレスト・ジャパンの井上英樹の講演によると、花キューピットが敬老の日の商戦でAIが背景を自動生成するPerformance+クリエイティブを使った場合と使わなかった場合を比較したところ、クリック率が20%増、コンバージョン率が80%増という差が出ました。また富澤商店はPinterest広告を5カ月継続し、3万人以上の新規ユーザー流入とCPAの他媒体比85%低減を記録しています。楽天やAmazon向けに撮りためた商品画像を持っている事業者ほど、新規制作なしで試せる余地があります。今回ABテスト機能が加わったのは、AIの自動最適化に運用者が納得できないという不信を、検証可能な形で埋めにきた動きだと読めます。

第3の論点は、画像から購買までの距離がさらに縮むことです。Pinterestは2026年6月からクリエイターのAmazonストアフロント連携を解禁し、アフィリエイトリンクを維持したまま送客できるようにしました。2月にはCTV広告基盤のtvScientificを買収し、Roku向け番組から二次元コードで購入可能なボードへ誘導する導線も走らせています。日本国内でも、LINEヤフーが画像起点の商品探索を強化し、カメラロールの写真から商品にたどり着くアプリが登場するなど、画像が入口になる流れは同じ方向を向いています。

Restyleで部屋の写真をボヘミアン調に変換した画面イメージ

明日から着手できること

まずは商品データフィードの整備です。ビジュアル検索広告は商品カタログを前提にした仕組みなので、価格と在庫が自動で同期される状態を作っておかないと、配信が始まっても乗り遅れます。楽天やAmazonに出しているデータをそのまま流用できるか、店舗側で確認しておく価値があります。

次に、非指名キーワードの棚卸しです。自社の商品が「どんな言葉にならない欲求」から探されているのかを、既存の検索クエリレポートやレビュー文面から洗い出しておきます。指名検索のキーワードリストとは別の台帳が必要になります。

3つ目が、画像資産の点検です。Pinterestは生活シーンの中で商品が使われている画像との相性がよく、白背景の切り抜き写真だけでは埋もれます。すでにある使用イメージ写真の本数を数え、足りないカテゴリを把握しておくと、提供開始時にすぐ動けます。なお、Pinterestは生成AIによる粗製濫造への批判を受けて、18歳未満のユーザーについては生成AI学習へのデータ提供を自動的に無効化する方針も示しています。AI生成画像を広告素材に使う場合は、プラットフォーム側の線引きが今後動く前提で設計しておくのが安全です。日本での広告メニューの詳細はPinterest for Businessで確認できます。

まとめ

Pinterestは、まだ買うものが決まっていない人が集まる面を、成果を測れる広告として売り始めました。非指名検索96%という数字は、指名検索の刈り取りに投資してきた日本のEC事業者にとって、空白地帯がまだ残っていることの裏返しでもあります。日本での提供時期は未確定ですが、商品フィードと使用イメージ画像という前提条件は今日から整えられます。Pinterestを使ったEC集客の基本とあわせて、準備を進めておく局面です。

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引用元: Modern Retail

参考文献:
– Modern Retail「Pinterest unveils new suite of ad tools, including Visual Search Ads, in its pitch to brands」2026年9月17日
– Pinterest Newsroom「Pinterest creators can now link their Amazon storefronts」2026年6月
– Pinterest Newsroom「tvScientific by Pinterest」2026年2月
– CNBC「Pinterest second-quarter earnings report 2026」2026年8月4日
– AdverTimes「ECサイトで3万人超の新規ユーザー流入も Pinterestの広告効果とは」2025年1月27日


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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