Promptsとは、Amazonの会話型AI内に出る広告フォーマットのことです。
日本語の解説記事にはまだ「無料オープンベータ」と書いてあるものが残っていますが、実態は変わりました。Sponsored Products promptsとSponsored Brands promptsは、2026年3月25日に米国で正式提供に移り、既存キャンペーンのCPC課金に組み込まれています。しかも自動で有効化されるため、米国で広告を回している事業者は、設定を何も変えていないのに広告費が発生している可能性があります。本記事は、EC支援19年・5,000社超の実績を持ち、AI導入支援は2023年から提供する株式会社オルセル(うるチカラ運営)が、Amazon Ads公式のリリースを一次情報として、日本の出品者が今やるべき確認と準備を整理します。
無料ベータから有料GAへ、この5か月で変わったこと
まず時系列を押さえます。Promptsが登場したのは2025年11月、Amazon Adsの年次カンファレンスunBoxedでのオープンベータ発表でした。この段階では課金なし。そして2026年3月25日、米国で正式提供(general availability)に移行し、同時にCPC課金の対象になりました。ベータ期間の感覚のまま放置していると、想定していない出稿費が積み上がります。
Promptsが何をするものかを、公式の記述に沿って説明します。ショッピング検索結果と商品詳細ページに、質問形式の入口が表示されます。買い物客がそれをクリックすると、Rufusのダイアログが開くか、あるいはその場で回答が返ります。表示される内容は、Amazonが持つ一次シグナル、つまり商品詳細ページ、ブランドストア、キャンペーンデータなどから生成されます。出品者が文言を書くわけではありません。
公式はこれを「24時間対応の仮想商品エキスパート」と表現しています。商品ページを読んだだけでは解消しない疑問に、買い物客が質問する前に先回りして答える、という位置づけです。
運用上いちばん重要な仕様は自動登録です。Sponsored ProductsとSponsored Brandsの既存キャンペーンは自動的にPromptsに登録され、既存のキャンペーン設定、たとえばターゲティングをそのまま使います。追加設定は不要です。裏を返せば、出品者が能動的に有効化しなくても配信が始まるということです。停止したい場合は、広告コンソールからいつでも一時停止できます。
管理画面の場所も具体的に書いておきます。キャンペーン、広告グループ、広告と進み、Promptsタブを開くと、クリックが発生したプロンプトが一覧されます。プロンプトの文言、紐づく広告、インプレッション、クリック、注文といった指標がここに並びます。レポート機能では、Reportsから新規レポートを作成し、カテゴリをSponsored Products、レポートタイプをPromptsに設定すると、プロンプト単位の実績が取得できます。取れる項目は、プロンプト文言、紐づく広告、インプレッション、クリック、クリック率、クリック単価、費用、売上、ACOS、ROAS、7日間の注文数と販売個数です。
提供地域は北米、正確には米国のみです。対象は米国のSponsored ProductsおよびSponsored Brandsを使う広告主で、著者と出版社は除外されています。
日本の出品者が今すぐ確認すべきこと
結論を先に書きます。Amazon.co.jpだけで販売している事業者に、今日やるべき設定変更はありません。Promptsは米国のみの提供で、日本の広告コンソールに同じ機能は用意されていません(日本での提供時期は公式に案内がなく、要確認です)。
一方、Amazon.comへ越境出品していて、米国でSponsored ProductsまたはSponsored Brandsを回している事業者は話が別です。2026年3月25日以降、自動登録によってPrompts経由のクリック課金が発生している可能性があります。まずやるべきは、3月下旬を境にキャンペーンのクリック単価や費用構成に変化が出ていないかの確認です。
具体的な確認手順を書きます。広告コンソールでPromptsレポートを作成し、期間を2026年3月25日から現在までに設定して実行してください。プロンプト単位で費用とACOSが出ます。ここで、通常の検索経由のクリックとPrompts経由のクリックで、ACOSやコンバージョンの傾向が違わないかを見ます。傾向が大きく違うなら、Promptsの一時停止を検討する材料になります。
判断の目安を1つ置いておきます。Prompts経由のACOSが、そのキャンペーン全体のACOSを10ポイント以上上回っているなら、いったん停止して様子を見る価値があります。逆に同水準か下回っているなら、追加の獲得枠として継続するほうが合理的です。この閾値は自社の粗利率で変わるため、あくまで初期の判断線として扱ってください。
もう1つ、日本の出品者にとって効く準備があります。Promptsの文言はAmazonが商品詳細ページ、ブランドストア、レビュー等の情報から自動生成します。つまり、生成の材料になる情報の質が、そのまま表示される内容の質になります。素材が薄ければ、当たり障りのない質問しか生成されません。
現場で繰り返し見るのは、商品説明が「高品質な素材を使用しています」のような抽象表現で埋まっているケースです。この状態では、買い物客が実際に迷っているポイント、たとえば「洗濯機で洗えるか」「何日で届くか」「他サイズとの違いは何か」に対応する材料が存在しません。箇条書きと商品説明に、具体的な数値と条件を入れる作業は、日本のカタログでも米国のカタログでも同じように効きます。この考え方はAmazon箇条書きを属性からベネフィットへ変換する手順で整理した内容と地続きです。
カタログ素材を整える4手順とプロンプト4本
ここからは実装です。Promptsの生成品質を左右する素材を整えるための4手順と、プロンプト4本を用意しました。ChatGPT、Claude、Geminiのいずれでも動きます。2026年7月時点の各社の主力は、OpenAIがGPT-5.6系(2026年7月9日公開)、GoogleがGemini 3.6 Flash(2026年7月21日公開)、AnthropicがClaude Opus 5(2026年7月24日公開)です。
手順1:レビューとQ&Aから「実際に聞かれている質問」を抽出
Promptsが生成する質問と、買い物客が本当に知りたいことがずれていると、クリックされても注文につながりません。まず実データから質問を抽出します。
(用途タイトル:レビュー・Q&Aからの実質問抽出)
プロンプト1:レビューとQ&Aから買い物客の実質問を抽出する
あなたはAmazon出品者の商品ページ改善を担当するコンサルタントです。
以下のレビュー本文とQ&Aから、買い物客が購入前に抱えている疑問を抽出してください。
入力:
- 商品名:{商品名}
- カテゴリ:{カテゴリ}
- レビュー本文(星の数付き):{貼り付け}
- 顧客からのQ&A:{貼り付け}
やること:
1. 「購入前に知りたかった」とわかる記述を抜き出す(購入後の感想と区別する)
2. 同じ趣旨の疑問をまとめ、出現回数の多い順に並べる
3. 各疑問について、現在の商品ページで答えられているかを判定する
4. 答えられていない疑問について、必要な情報の種類(数値/条件/比較/画像)を示す
ルール:レビューに書かれていない疑問を推測で追加しない。
出力:疑問リスト(出現回数付き)、ページで未回答のもの、必要情報の種類。
手順2:箇条書きを「質問への回答」として書き直す
抽出した疑問に、箇条書きで先に答える形に組み替えます。Promptsの素材としても、通常の検索経由の購入判断でも効きます。
(用途タイトル:疑問先回り型の箇条書き生成)
プロンプト2:買い物客の疑問に先回りする箇条書きを作る
あなたはAmazon出品ページのコピーを担当するライターです。
以下の疑問リストとスペック情報から、箇条書き5項目を作成してください。
入力:
- 買い物客の疑問リスト(優先順):{手順1の出力}
- 商品スペック:{寸法・重量・素材・容量・電源・付属品など}
- 対応・非対応の条件:{洗濯可否、対応機種、使用environment など}
条件:
1. 各項目は「属性」ではなく「疑問への回答」として書く
(悪い例:高品質ステンレス採用/良い例:食洗機対応のステンレス製で、
毎日の洗いものを手洗いせずに済みます)
2. 各項目に数値を最低1つ含め、単位を必ず付ける
3. 1項目あたり200〜500バイト(カテゴリの上限に合わせる)
4. 薬機法・景品表示法に触れる表現(治る、効く、日本一、絶対、No.1)を使わない
5. スペック情報に無い内容を書かない
出力:箇条書き5項目と、各項目がどの疑問に答えているかの対応表。
手順3:商品説明に条件と例外を書き切る
会話型の応答では、条件付きの情報が力を持ちます。「使えます」より「この条件なら使えます」のほうが、AIが正確に引用できます。
(用途タイトル:条件・例外を明示した商品説明の生成)
プロンプト3:条件と例外を明示した商品説明を書く
あなたはAmazon出品ページの商品説明を担当するライターです。
以下の情報から、条件と例外を明示した商品説明を作成してください。
入力:
- 商品名:{商品名}
- 主な用途:{値}
- 使える条件:{値}
- 使えない条件・非対応ケース:{値}
- 保証・返品条件:{値}
- 配送に関する制約(大型・要冷蔵など):{値}
条件:
1. 「〜の場合は使えます/〜の場合は使えません」という形で、条件を対にして書く
2. 非対応ケースを隠さない。書いたほうが返品率は下がる
3. 保証期間・返品期限は日数で明記する
4. 全体で半角2,000文字以内
5. 入力に無い情報を追加しない
出力:商品説明本文と、「未確認のため書けなかった項目」のリスト。
手順4:Promptsレポートの読み方を型にする
レポートが出せるようになったので、見る型を決めておきます。毎回ゼロから解釈しないための下ごしらえです。
(用途タイトル:Promptsレポートの分析)
プロンプト4:Amazon Promptsレポートを分析して打ち手を出す
あなたはAmazon広告の運用アナリストです。
以下のPromptsレポートを分析し、次の打ち手を提示してください。
入力:
- Promptsレポート(プロンプト文言、インプレッション、クリック、CTR、CPC、
費用、売上、ACOS、ROAS、7日間注文数・販売個数):{CSV貼り付け}
- キャンペーン全体のACOS:{値}
- 商品の粗利率:{値}
分析:
1. プロンプト単位のACOSをキャンペーン全体と比較し、上回っているものを列挙
2. インプレッションは多いがCTRが低いプロンプトを抽出し、
その文言から推測できる「ズレ」を言語化する
3. CTRは高いが注文につながっていないプロンプトを抽出し、
商品ページ側で不足している情報を推測する
4. 粗利率から損益分岐ACOSを計算し、赤字域のプロンプトを特定する
ルール:入力に無い数値を補完しない。判断に必要な情報が欠けていれば質問で返す。
出力:停止候補、ページ改善候補、継続候補の3分類と、それぞれの根拠。
失敗例と回避策
Promptsまわりで起きやすい失敗を3つ挙げます。
1つ目は、自動登録に気づかず、3月以降の広告費の増加を「季節要因」と解釈してしまうケースです。米国で出稿している事業者では、これが最も起きやすい見落としです。Promptsレポートを1回出せば切り分けられるので、まずそこから着手してください。
2つ目は、Promptsの文言を出品者側でコントロールできると誤解するパターンです。公式の説明では、プロンプトはAmazonが一次シグナルから生成します。文言を直接編集する手段は案内されていません。できるのは、生成の材料である商品ページとブランドストアの情報を厚くすることと、個別のプロンプトを停止することです。ここを取り違えると、対策の方向が丸ごとずれます。
3つ目は、日本のカタログを英語に機械翻訳しただけで米国に出しているケースです。会話型の応答では、単位系(センチとインチ、グラムとオンス)、電圧、規格認証の有無といった、翻訳では埋まらない情報が問われます。米国のレビューを読むと、日本のレビューには出てこない疑問が並びます。アパレル系の単一店舗で試したケースでは、サイズ表記を米国基準で併記しただけで返品理由の内訳が変わりました。翻訳ではなくローカライズが必要です。
KPI設計と費用・工数目安
追う指標は4つに絞ります。Prompts経由の費用が広告費全体に占める比率、Prompts経由のACOS、Prompts経由のCTR、そして商品ページで未回答のまま残っている疑問の件数です。最後の1つだけは広告レポートに出ないので、手順1の抽出結果から手で数えます。
工数の目安です。米国で50SKU程度を出稿している事業者なら、Promptsレポートの初回確認に1時間、上位10SKUについて手順1から3を回すのに8〜12時間程度が現場感覚です。翌月以降のレポート確認は月1時間で足ります。
費用面では、Prompts自体に追加の固定費は発生しません。既存キャンペーンのCPC課金に含まれます。生成AIの利用料は月20米ドル前後のサブスクリプションで賄えます。実質的なコストは、カタログを直す人件費です。
効果については断定を避けます。Promptsの提供開始から日が浅く、日本語での検証事例も公開されていません。ただ、商品ページの情報密度を上げる作業は、Promptsが来る来ないに関わらず、通常の検索経由の転換率にも効きます。投資が無駄になりにくい領域だという点は言い切れます。
今後の展望と独自考察
日本への展開について、1つ見立てを書いておきます。AmazonがRufus系の機能を日本へ持ち込むペースは、これまで米国から半年から1年程度の遅れで推移してきました。この経験則を当てはめるなら、日本でのPrompts提供は2026年後半から2027年前半のどこか、というのが現実的な想定です。ただしこれは公式に示された計画ではなく、あくまで推測として扱ってください。
より本質的な変化は、広告の単位が「キーワード」から「質問」へ移りつつある点だと考えています。従来のSponsored Productsは、検索語に対して商品を出す仕組みでした。Promptsは、買い物客が抱く疑問に対して商品情報を出す仕組みです。この違いは、入札の設計だけでなく、そもそも何を最適化するのかという前提を変えます。キーワードは自分で選べますが、質問は選べません。選べるのは、質問に答えられる材料をどれだけページに置いておくかだけです。
もう1つ、Prompts経由の指標が独立して取れるようになった意味も見逃せません。プロンプト文言ごとにCTRとACOSが見えるということは、買い物客がどこで迷っているかのデータが、広告レポートの形で手に入るということです。これは商品開発やFAQ整備にも使える資産になります。オーガニック側の対策と組み合わせる考え方は、Alexa for Shopping(旧Rufus)への統合対策で扱った論点とセットで見ると整理しやすくなります。
よくある質問
Sponsored Products promptsとは何ですか
Sponsored Products promptsとは、Amazonの検索結果と商品詳細ページに表示される質問形式の広告枠のことです。クリックするとRufusのダイアログが開くか、その場で回答が返ります。2026年3月25日に米国で正式提供となりました。
まだ無料ですか
いいえ、無料ではありません。2025年11月のオープンベータ時点では課金されませんでしたが、2026年3月25日の米国正式提供と同時に、既存キャンペーンのCPC課金に組み込まれました。
日本のAmazonでも使えますか
いいえ、2026年7月時点では米国のみの提供です。日本での提供時期は公式に案内されておらず、要確認の扱いになります。
自分で有効化しなくても配信されますか
はい、配信されます。Sponsored ProductsとSponsored Brandsの既存キャンペーンは自動的に登録され、既存のターゲティング設定がそのまま使われます。停止したい場合は広告コンソールから一時停止できます。
プロンプトの文言は自分で書けますか
いいえ、書けません。Amazonが商品詳細ページ、ブランドストア、キャンペーンデータなどの一次シグナルから自動生成します。出品者ができるのは、材料となるページ情報を厚くすることと、個別プロンプトの停止です。
実績はどこで見られますか
広告コンソールのキャンペーンから広告グループ、広告と進み、Promptsタブで確認できます。レポート機能では、カテゴリをSponsored Products、タイプをPromptsに設定してレポートを作成すると、プロンプト単位の詳細な指標が取得できます。
日本の出品者は今何をすべきですか
米国で出稿しているならPromptsレポートを1回出して費用を確認してください。日本のみで出品しているなら、商品ページの箇条書きと商品説明を「買い物客の疑問への回答」として書き直す作業が、そのまま将来の備えになります。
著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)
参考文献
- Amazon Ads|Sponsored Products prompts and Sponsored Brands prompts
- Amazon Ads|Sponsored Products
- Amazon Ads|Sponsored Brands
- Amalytix|Alexa for Shopping (formerly Amazon Rufus) 2026 guide
※うるチカラでは、生成AIの導入支援から運用最適化まで、貴社のEC事業に合わせたカスタマイズ提案を行っています。無料相談(30分)も実施中ですので、お気軽にお問い合わせください。
https://uruchikara.jp/contact/
【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。