Google Shopping新ツール5機能、AI時代のEC広告が変わる初動策

Googleが5月20日発表したGoogle Shopping新ツール5機能を解説。AI performance insightsやconversational attributesが日本のEC事業者の広告運用と商品データに迫る初動策をまとめます。

投稿日: カテゴリー AIニュース

Googleの公式ブログが5月20日(米国時間)、Google Marketing Liveに合わせてGoogle Shopping関連のアップデートを発表しました。先に話題になったクロス小売の買い物カート「Universal Cart」だけでなく、今回はMerchant Centerに加わる計測・最適化ツール群がもう一つの目玉です。日本のEC事業者にとっては、AI検索時代に「自社商品がどれだけ拾われているか」を初めて数字で見られるようになる点が実務的に大きいと考えています。

本記事では決済より一段手前、つまり広告と商品データ運用がどう変わるかに絞って解説します。Universal Cartと決済導線そのものの論点は別記事(Google「Universal Cart」公開、AI内決済が日本ECに迫る3つの論点)で詳しく扱っているので、あわせて読むと全体像がつかめます。

何が発表されたのか──Google Shoppingの新ツール群

今回Googleが打ち出したGoogle Shopping関連の機能を整理すると、大きく五つです。

一つ目は「AI performance insights」。Merchant Centerに追加される新ツールで、Googleの発表によればオーストラリア、カナダ、インド、ニュージーランド、米国で提供を開始します。AI検索面で自社の商品やブランドがどう表示されているかを把握するための仕組みと位置づけられています。

二つ目は「Ask Advisor」。Merchant Center内のAIコラボレーターで、Google広告とGoogleアナリティクスを結びつけて相談できる機能とされています。詳細はAsk Advisorの発表ページで公開されています。

三つ目は「conversational attributes」。会話型検索に合わせて商品説明を更新するための属性で、小売事業者向けにグローバル展開すると説明されています。

四つ目は「Direct Offers」を含むUCP連携広告です。Universal Commerce Protocol(UCP)に対応したブランドの商品が、検索広告やYouTube上のDemand Gen広告からそのまま買える導線につながります。Direct Offersの詳細はGoogle Marketing Liveの検索広告発表にまとまっています。

五つ目が決済の幅です。Google Payの中にAffirmとKlarnaの「buy now, pay later(後払い)」が組み込まれ、UCP対応のチェックアウトはカナダ、オーストラリア、その後イギリスへ広がる予定とされています。なお対応小売としてNike、Sephora、Target、Ulta Beauty、Walmart、Wayfair、ShopifyマーチャントのFentyやSteve Maddenなどが挙がっています。

Googleは新カートについて「Universal Cartは小売事業者をまたぎ、検索やGeminiなどのサービスを横断して機能する、真にインテリジェントなショッピングカートだ」と説明しています(Googleブログ)。

日本のEC事業者にとっての論点──「測れる」ことの意味

今回の発表で日本のEC事業者がまず注目すべきは、決済の話ではなくAI performance insightsとconversational attributesの組み合わせです。これまで生成AIやAI Modeの中で自社商品がどれだけ露出しているかは、ほぼブラックボックスでした。検索順位のように順位を測るツールも乏しく、AI最適化に投資しても効果が見えないという声を、支援の現場でも数多く聞いてきました。

AI performance insightsが提供開始される地域に日本は現時点で含まれていません。ここは要確認の前提ですが、Googleが「AI面での表示状況を同業比較で可視化する」という方向性を明確にしたこと自体が重要です。楽天市場のRMS検索順位やAmazonの検索結果順位を日々見てきた感覚で、近い将来「AI検索での表示シェア」というKPIが運用ダッシュボードに並ぶ未来が現実味を帯びてきたといえます。

conversational attributesも実務に直結します。これは商品説明を会話型クエリに合わせて整える発想で、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの商品ページにもそのまま応用できる考え方です。従来の楽天SEOやAmazonの検索アルゴリズム向けに、キーワードを羅列して詰め込むやり方は、AIに正確に要約・比較されにくくなります。用途、対象ユーザー、サイズ感、素材、代替候補との違いを自然な日本語で書く運用へ、いまから切り替えておく価値があります。

UCPで拡張される取り扱いカテゴリのイメージ

今後の展望・初動アクション

日本はUCP対応チェックアウトのロールアウト地域にまだ入っていません。それでも、AI Modeやアシスタント経由で商品が比較・推薦される体験は、いずれ日本にも波及すると見るのが自然です。決済の到来を待つのではなく、その手前にある商品データと広告運用の整備から先に着手するのが、今とれる最も効果的な準備です。

具体的な打ち手は三つに絞れます。第一に、商品タイトル・説明文・属性データをAIに読まれる前提で再設計することです。conversational attributesの考え方を借りて、検索ボックスに入れる単語ではなく「この商品は誰の、どんな悩みに、どう効くのか」を文章で記述します。これはGoogleショッピングだけでなく、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの全チャネルに効きます。

第二に、計測の準備です。AI performance insightsが日本に入ってきたとき即座に使えるよう、Merchant Centerの商品フィードと、Google広告・Googleアナリティクスの連携を先に整えておきます。Ask Advisorが広告とアナリティクスを横断する設計である以上、データがつながっていない状態では恩恵を受けられません。

第三に、自社サイトでの一次情報の蓄積です。AI検索での表示シェアを取るには、商品の使用シーン、開発背景、競合との違いといった一次コンテンツを、商品ページとは別レイヤーで積み上げていく動きが、これから一段と価値を持ちます。どのAIツールを併用すべきか迷う場合は、EC運営に効く生成AIツールの整理も判断材料になります。

まとめ

今回のGoogle Shoppingアップデートは、決済の派手さに目が行きがちですが、日本のEC事業者にとっての本丸はAI performance insightsとconversational attributesという「測る・整える」側の機能です。日本でのロールアウトを待つ間にやるべきは、商品データのAI最適化、Merchant Centerと計測基盤の連携準備、自社サイトでの一次情報蓄積の三点です。いずれも楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングの売上にも跳ね返る投資なので、いまから走り出すことをおすすめします。

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引用元: Google The Keyword

著者:齋藤竹紘(株式会社オルセル 編集長/5,000社以上のEC支援実績/書籍3冊)


【監修】齋藤竹紘(株式会社オルセル代表 / 19年・5,000社のEC支援実績)


投稿者: 齋藤竹紘

株式会社オルセル代表取締役 / うるチカラ編集長。19年・5,000社以上のEC支援実績を持ち、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・Shopify・Shopee越境ECの実装ノウハウを保有。AI×ECに関する書籍を3冊執筆。「現場で使えるAI実装」を一次情報として発信しています。

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